フランス革命時の民主思想の憂鬱とは 第4回
そしてトクヴィルには憂鬱の概念が色濃く付きまとう。トクヴィルは16歳のとき精神病理学でいうメランコリー型欝病に罹ったようである。そしてトクヴィルの政治理論の手法は社会心理学かもしれない。政治的行動が「憂鬱」、「焦燥」などの個人の情念や情緒用語を用いて説明される。これは丸山真男氏の論法と同じで、丸山氏の明治維新、天皇制国家の情念論は妙に真実性を帯びているので人気があった。個人の心理から歴史を説明されると、納得する人は多いようだ。無味乾燥なイデオロギー論や唯物論よりは迫力がある。
本書の内容に立ち入る前に、トクヴィルの人と時代を概観しておこう。本書の副題となっている「現代へのまなざし」という言葉は、トクヴィルの肖像画からきている。目が澄んで遠くを見つめているようだということであるが、これを言っては身も蓋もないが「近眼のまなざし」なのである。コンタクトレンズが行き渡った今日では、近眼の女性が視力矯正をしないことはないが、この眼鏡をかけていない美しい近眼の女性のまなざしがトクヴィルのまなざしなのである。「ピント外れの見解」という悪い意味で言っているのではない。ただ遠くをみているまなざしなのである。トクヴィルの分りやすい特徴とは、近眼と鬱病である。どこか人間と社会の深い部分を見てしまったトクヴィルの悲しみに近い感情を著者はそう表現したかったのであろう。
(つづく)
そしてトクヴィルには憂鬱の概念が色濃く付きまとう。トクヴィルは16歳のとき精神病理学でいうメランコリー型欝病に罹ったようである。そしてトクヴィルの政治理論の手法は社会心理学かもしれない。政治的行動が「憂鬱」、「焦燥」などの個人の情念や情緒用語を用いて説明される。これは丸山真男氏の論法と同じで、丸山氏の明治維新、天皇制国家の情念論は妙に真実性を帯びているので人気があった。個人の心理から歴史を説明されると、納得する人は多いようだ。無味乾燥なイデオロギー論や唯物論よりは迫力がある。
本書の内容に立ち入る前に、トクヴィルの人と時代を概観しておこう。本書の副題となっている「現代へのまなざし」という言葉は、トクヴィルの肖像画からきている。目が澄んで遠くを見つめているようだということであるが、これを言っては身も蓋もないが「近眼のまなざし」なのである。コンタクトレンズが行き渡った今日では、近眼の女性が視力矯正をしないことはないが、この眼鏡をかけていない美しい近眼の女性のまなざしがトクヴィルのまなざしなのである。「ピント外れの見解」という悪い意味で言っているのではない。ただ遠くをみているまなざしなのである。トクヴィルの分りやすい特徴とは、近眼と鬱病である。どこか人間と社会の深い部分を見てしまったトクヴィルの悲しみに近い感情を著者はそう表現したかったのであろう。
(つづく)