高コスト、石油を多消費し、核兵器並みの危険性を持つ原発 第17回 最終回
5)原発の安全性と維持・再利用・廃棄物処理費用
原発の発電コストが決して安くはないということが、増え続ける放射性廃棄物の処理や保管に要するコストが顕在化するにつれ明らかになってきた。原発総体コストは、大事故時の損害賠償は国が面倒を見るという気楽さはあるにしても、電力会社の経営を次第に圧迫しつつある。こうした原発の不経済性を端的に示すのが「使用済み核燃料の再処理」である。高速増殖炉のプルトニウムの再処理コストが動燃やフランスからの要求によって具体的な数値が出るに及び、1981年通産省も再処理費用がプルトニウムの燃料価値を上回る事を認めた。実際アメリカでは再処理の試みは失敗し実用化されていない。プルトニウムの燃料価値をどう算出するかについては、イギリスはゼロと見、動燃はウランと等価と見た。それでも使用済み核燃料1トンあたり1億5000万円の損失となる。再処理はすればするほど経済的損失を生む。動燃の1年あたりの使用済み核燃料は800トンとすると、毎年1200億円の損失となる。敦賀もんじゅの高速増殖炉が15年以上停止状態にあることから、むつ小川原開発(株)構想は大失敗であったことが明らかである。原発の放射性廃棄物は、道具類への低汚染物から、放射性廃液、使用済み核燃料、そして最後には廃炉がある。廃炉は100万kWh原発1基につき60万トンになると見込まれる。最終核廃棄物の捨て場には原発会社は頭を悩ましており、時折過疎に苦しむ市町村が収入増を狙って苦し紛れに受け入れを表明することがあっても、県知事がこれを拒否するケースがあった(高知県など)。原発は資源皆無の日本にとって救世主となるか(ウランだって日本にはないが)、はたまた広島型原爆の数万倍の死の灰にうずまって亡国の道を選ぶかの岐路に立っている。本書の巻末に1952年から1993年までの大小100件の原子炉関連事故例が略記されている。他山の石としないよう、類似事故はいつでもどこでも発生しているのである。
5)原発の安全性と維持・再利用・廃棄物処理費用
原発の発電コストが決して安くはないということが、増え続ける放射性廃棄物の処理や保管に要するコストが顕在化するにつれ明らかになってきた。原発総体コストは、大事故時の損害賠償は国が面倒を見るという気楽さはあるにしても、電力会社の経営を次第に圧迫しつつある。こうした原発の不経済性を端的に示すのが「使用済み核燃料の再処理」である。高速増殖炉のプルトニウムの再処理コストが動燃やフランスからの要求によって具体的な数値が出るに及び、1981年通産省も再処理費用がプルトニウムの燃料価値を上回る事を認めた。実際アメリカでは再処理の試みは失敗し実用化されていない。プルトニウムの燃料価値をどう算出するかについては、イギリスはゼロと見、動燃はウランと等価と見た。それでも使用済み核燃料1トンあたり1億5000万円の損失となる。再処理はすればするほど経済的損失を生む。動燃の1年あたりの使用済み核燃料は800トンとすると、毎年1200億円の損失となる。敦賀もんじゅの高速増殖炉が15年以上停止状態にあることから、むつ小川原開発(株)構想は大失敗であったことが明らかである。原発の放射性廃棄物は、道具類への低汚染物から、放射性廃液、使用済み核燃料、そして最後には廃炉がある。廃炉は100万kWh原発1基につき60万トンになると見込まれる。最終核廃棄物の捨て場には原発会社は頭を悩ましており、時折過疎に苦しむ市町村が収入増を狙って苦し紛れに受け入れを表明することがあっても、県知事がこれを拒否するケースがあった(高知県など)。原発は資源皆無の日本にとって救世主となるか(ウランだって日本にはないが)、はたまた広島型原爆の数万倍の死の灰にうずまって亡国の道を選ぶかの岐路に立っている。本書の巻末に1952年から1993年までの大小100件の原子炉関連事故例が略記されている。他山の石としないよう、類似事故はいつでもどこでも発生しているのである。
(完)