生き方は個人の選択だが、そもそも最初から立つ位置が異なる 第9回
3)女の働き方・男の働き方 (2)
少子化問題から労働力不足を憂うため女性就労を促進するというせこい見方がある。2006年の合計特殊出産率は1.32で少子化は深刻な現実であり、2005年より日本は人口減少社会に突入したとされる。出生率の低下は世代の成熟だけでなく進行した晩婚化・未婚化とおなじ不況と密接に連動している。政府は欧州の状況を見て、女性の労働参加が高い国は出生率も高い傾向にあるので、出生率を高めるには女性の労働参加を促進する必要があると解釈したようだ。これはあまりに短絡的な現象の見方にすぎず、保育所、賃金、働き方支援など女性の労働参加のための労働福祉施策が実を結んだ結果出生率が上がったのであって、政府の施策もなしに女性労働参加を求めても本末転倒であろう。遅ればせながら2001年より「雇用保険法改正」により産休所得保障、職場復帰給付金など、2004年には「少子化対策大綱」が決められたとはいえ、少子化に歯止めはかかっていない。2006年政府は「新たな少子化対策について」を発表したが、問題を「子供」と「家族」に限定し背景が無視されたことは問題である。そして女性と家族に向かって「大切な家族」、「子育ての喜び」とか価値観の押し付け説教をしていることである。人々の意識を政策目標とするのは危険である。倫理は政策ではない。「美しい日本」とか「友愛」とかいう美学や価値観の強要と同じ論理である。首相個人が内心でそう信じておればいいことで、法の前文で述べることではない。環境省のエコ意識の強要もおなじことである。
(つづく)
3)女の働き方・男の働き方 (2)
少子化問題から労働力不足を憂うため女性就労を促進するというせこい見方がある。2006年の合計特殊出産率は1.32で少子化は深刻な現実であり、2005年より日本は人口減少社会に突入したとされる。出生率の低下は世代の成熟だけでなく進行した晩婚化・未婚化とおなじ不況と密接に連動している。政府は欧州の状況を見て、女性の労働参加が高い国は出生率も高い傾向にあるので、出生率を高めるには女性の労働参加を促進する必要があると解釈したようだ。これはあまりに短絡的な現象の見方にすぎず、保育所、賃金、働き方支援など女性の労働参加のための労働福祉施策が実を結んだ結果出生率が上がったのであって、政府の施策もなしに女性労働参加を求めても本末転倒であろう。遅ればせながら2001年より「雇用保険法改正」により産休所得保障、職場復帰給付金など、2004年には「少子化対策大綱」が決められたとはいえ、少子化に歯止めはかかっていない。2006年政府は「新たな少子化対策について」を発表したが、問題を「子供」と「家族」に限定し背景が無視されたことは問題である。そして女性と家族に向かって「大切な家族」、「子育ての喜び」とか価値観の押し付け説教をしていることである。人々の意識を政策目標とするのは危険である。倫理は政策ではない。「美しい日本」とか「友愛」とかいう美学や価値観の強要と同じ論理である。首相個人が内心でそう信じておればいいことで、法の前文で述べることではない。環境省のエコ意識の強要もおなじことである。
(つづく)