ブログ 「ごまめの歯軋り」

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エジプトは軍の力を借り  ミャンマーでは軍トップが大統領へ?

2011年02月01日 | 時事問題
asahi.com 2011年2月1日3時3分
エジプト野党勢力、軍と連携方針 暫定政権樹立めざす
 【カイロ=石合力、ワシントン=望月洋嗣】ムバラク大統領の退陣を求めているエジプトの野党勢力は31日、現政権を排除し、軍との間で暫定政権樹立を目指す方針を固めた。米政府は30日、政権移行を支持すると表明、ムバラク氏に退陣を促した。野党勢力は2月1日に100万人規模のデモを構えており、最大の後ろ盾だった米国がムバラク政権を見放したことで、エジプト情勢は重大局面に入った。

asai.com 2011年2月1日1時58分
ミャンマー軍政トップ、大統領になる?去就に注目集まる
 【バンコク=古田大輔】ミャンマー(ビルマ)で、軍事政権トップのタン・シュエ国家平和発展評議会(SPDC)議長(77)の去就が注目されている。大統領になるのか、引退か、陰で院政を敷くのか。軍政は31日に招集された国会を「民政移管」と位置づけるが、軍政トップが大統領に横滑りすれば、内外の強い批判を呼ぶのは必至だ。

政府は最終的には暴力機構という後進国スタイルと、災害自衛隊というポピュリズム政治のどちらがよりましな政府か?  独りの暴虐な頭脳に支配されるよりは、賢人と衆愚の集まりの民主制のほうが発展性があるのと違いますか。

読書ノート アーサー・ケスラー著 村上陽一郎訳 「偶然の本質」 ちくま学芸文庫

2011年02月01日 | 書評
超心理学(超感覚知覚)はニューエイジサイエンスか、知の冒険か 第9回 最終回

4)統一体(非因果律の世界)を目指して

 著者はESPを、統計的に有意といっても当りもしない惨めな予知、透視だとか、幽霊のようにちょろちょろ出てくるような皮相なことではなく、非因果律の世界が何をもたらすのかを考えようと提案する。ギリシャのヒポクラテスが「すべてのもの同士の共感」という、目に見えない秩序の中に偶然の一致というようなものが入り込む余地はなかった。神秘主義者ケプラーは世界精神と人間の魂の調和を考えたし、ライプニッツはモナド論のなかで、予定調和した全宇宙を反映するミクロコスモスを想定したのである。19世紀ショーペンハウエルは因果律は世界の支配法則のひとつであって、形而上学的な普遍的な意識もあるといった。因果律と非因果律の2元論であろうか。縦線と横線の関係であるという。そこで著者は共時性と連繁はあらゆる事物の基本的統一に対する本質的な信仰の現れであるという。波動と粒子、質量とエネルギーなど対立する概念同士の「基本的統一性」は物理学でも訴求されているのである。はたして科学がそのような統一性に達するかどうかは保証できない。著者は多様と統一に位相的に構成される全体子というアナロジーを導入しようとするが、これらは説明することも出来ない代物なので無視しておこう。これ以上突っ込んだ議論は実証不能なので空論であろうか。人間の脳構造と機能の研究は始まったばかりであり、それらの成果を待たないと哲学的妄想か宗教に堕する恐れがある。この辺でお開きとしておこう。
(完)

文藝散歩 江藤 淳著 「荷風散策ー紅茶のあとさき」 新潮文庫

2011年02月01日 | 書評
永井荷風の小説世界を時空間より読み解く 第10回

「おもかげ」 1人称、現在時制の小説話法

「断腸亭日乗」によると、荷風散人は昭和12年6月以降,殆ど毎晩のように吉原の妓楼に流連し、嫌悪すべき昭和の現実の埒外の世界に居続けた。そして昭和13年(1938年)2月の中央公論に「おもかげ」という短編を発表した。場所は吉原遊郭の中ではなく、龍泉寺通りから京町、江戸町に屯するタクシーの運転手の話である。小説はことごとく時制は現在形に置かれている。話者と読者の視点がテキストの外ではなく、テキストの内部にしかない。これはフランス風近代小説の客観話法の手段とは正反対の手法であった。「フランス写実派近代小説は話者の視点と発話点をテクストの外の固定された1点に置き、登場人物の人称は3人称に、時制は過去において話を進める」という話法と違うと江藤淳氏は解説する。「おもかげ」は運転手の思い出話で始まり、一貫して日本語の物語話法の伝統に立っていた。
(つづく)

筑波子 月次絶句集 「寒月窺窓」

2011年02月01日 | 漢詩・自由詩
残夜空窓凍月移     残夜空窓に 凍月移り

悄然孤座未明時     悄然孤座す 未明の時

低吟浅酌寒缶盡     低吟浅酌 寒缶盡き
 
東白鶏鳴暁漏遅     東白く鶏鳴て 暁漏遅し


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(韻:四支 七言絶句仄起式  平音は○、仄音は●、韻は◎)
(平仄規則は2・4不同、2・6対、1・3・5不論、4字目孤平不許、下三連不許、同字相侵)