朝日新聞 2009年3月10日23時59分
シリア大統領、米オバマ政権と協調姿勢 本社単独会見
【ダマスカス=平田篤央】シリアのバシャール・アサド大統領は10日、ダマスカスの大統領府で朝日新聞記者と単独会見し、イスラエルとの和平交渉について「現在の間接交渉から直接交渉に移る際には、同国に影響力のある米国が裁定人として必要だ」と述べ、米オバマ政権の関与を求めた。反米強硬派とされてきたシリアだが、対話路線を打ち出した米新政権と協調する姿勢を強調、停滞する中東和平の打開に意欲を見せた。
シリアは対イスラエル闘争を続けるパレスチナのイスラム過激派ハマス、レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラを支援し、欧米から「テロ支援国家」と名指しされている。また、国際社会の圧力に抗して核開発をすすめるイランとは友好関係にある。
アラブの歴史
イスラエルとパレスチナの抗争の全ての根源はイギリス植民地主義が生んだ「中東の火薬庫」戦略に起因する。それを引き継いだのがアメリカの石油戦略である。 9.11同時多発テロとアフガン戦争とそれに続くイラン戦争以来、中東諸国は現在イスラム原理主義が支配する反米で一枚岩に様に見える。イスラム教対キリスト教国という所謂「文明の衝突」という見方も存在する。しかし歴史的に中東地域を見て行くとそんな単純な構図ではないことが分る。中東は大きく分類すると、トルコ民族、イラン民族、多民族からなるアラブという三大勢力が興亡を繰り返したところである。その三大勢力もイスラム教という共通の宗教(中に多数の派があるが)でくくられる。アラブナショナリズムとは「アラビア語とイスラムの文化的・歴史的遺産を共有する人間をアラブ人と呼びこれを統一する運動」を意味する。欧州によるアラブの分割が起きたのは、1920年イラク、ヨルダン、パレスチナはイギリスの、シリアとレバノンはフランスの委託統治領になることが国際連盟で決定された。そこに現在の紛争の根源がある。イラクとトルコは独立を維持した。
シリア大統領、米オバマ政権と協調姿勢 本社単独会見
【ダマスカス=平田篤央】シリアのバシャール・アサド大統領は10日、ダマスカスの大統領府で朝日新聞記者と単独会見し、イスラエルとの和平交渉について「現在の間接交渉から直接交渉に移る際には、同国に影響力のある米国が裁定人として必要だ」と述べ、米オバマ政権の関与を求めた。反米強硬派とされてきたシリアだが、対話路線を打ち出した米新政権と協調する姿勢を強調、停滞する中東和平の打開に意欲を見せた。
シリアは対イスラエル闘争を続けるパレスチナのイスラム過激派ハマス、レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラを支援し、欧米から「テロ支援国家」と名指しされている。また、国際社会の圧力に抗して核開発をすすめるイランとは友好関係にある。
アラブの歴史
イスラエルとパレスチナの抗争の全ての根源はイギリス植民地主義が生んだ「中東の火薬庫」戦略に起因する。それを引き継いだのがアメリカの石油戦略である。 9.11同時多発テロとアフガン戦争とそれに続くイラン戦争以来、中東諸国は現在イスラム原理主義が支配する反米で一枚岩に様に見える。イスラム教対キリスト教国という所謂「文明の衝突」という見方も存在する。しかし歴史的に中東地域を見て行くとそんな単純な構図ではないことが分る。中東は大きく分類すると、トルコ民族、イラン民族、多民族からなるアラブという三大勢力が興亡を繰り返したところである。その三大勢力もイスラム教という共通の宗教(中に多数の派があるが)でくくられる。アラブナショナリズムとは「アラビア語とイスラムの文化的・歴史的遺産を共有する人間をアラブ人と呼びこれを統一する運動」を意味する。欧州によるアラブの分割が起きたのは、1920年イラク、ヨルダン、パレスチナはイギリスの、シリアとレバノンはフランスの委託統治領になることが国際連盟で決定された。そこに現在の紛争の根源がある。イラクとトルコは独立を維持した。