ブログ 「ごまめの歯軋り」

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世銀見通し 世界の経済はマイナス成長へ G20報告

2009年03月10日 | 時事問題
朝日新聞 2009年3月10日1時22分
世界経済成長率、戦後初のマイナス成長予想 世界銀行
 【ワシントン=西崎香】世界銀行は8日、今年の世界経済の成長率が戦後初めてマイナスに転じる可能性がある、との見通しを発表した。国際通貨基金(IMF)も0.5%だった成長率予想をマイナスに下方修正することを検討中と伝えられている。
 世銀見通しは、13、14両日に開かれる主要20カ国財務相・中央銀行総裁会議(G20)の協議のためにまとめた。世界の工業生産も今年半ばには08年と比べ最大15%落ち込む可能性を指摘。世界貿易量も82年以来初めて年間で落ち込み、減少幅は過去80年間で最大になると見込んでいる。


モード・バーロウ、トニー・クラーク著 「水戦争の世紀」  集英社新書

2009年03月10日 | 書評
水資源は共有財産であって商品ではない 第10回

第2部:グローバル水企業の策略 (1)

 この本の趣旨は第2部に集約されている。2000年3月のハーグの「第2回世界水フォーラム」が高らかに「水はニーズである」と宣言したことは先に述べた。このフォーラムには140カ国以上の閣僚級代表が参加する国連の公式の世界大会のような印象を与えたが、じつはこの会議を招集したのは「グローバル水環境パートナーシップ」という企業・銀行であった。かれらがスポンサーで金を出していた。議論の焦点も世界市場で水を売る際の利益に関することであった。議論を持ち出し仕切った主役は世界水企業数社のブレーンであった。こうしてコモンズ共有財産から水を引き剥がす事に成功した。人類の生存権の否定にも繋がりかねない。水が商品であれば、市場において価格が決定され、適正?な資源の配分が行われる(支払い能力によって水を得られない人も出てくる)。

 資本主義においてよく言われること言葉は「外部化」であり、「共有地の悲劇」である。いま経済システムの及ばないところを「外部」といい、そこを資本は徹底的に利用し尽す「共有地の悲劇または草刈場」と化す。自然はまさに共有地であって、天然資源などいつしかただで刈り取られていった。勿論誰に金を払っていいのか不明であったからだ。山ノ神がいれば話は簡単なのだが。残るは水と空気しか残っていない。宇宙空間では空気も水も商品だろうが、地球では水は偏在している。差異こそが利益の根源とは岩井克人氏(「資本主義を語る」)の言葉である。右から左へ持ってゆくだけで金になるということは利敏い人なら直ぐにわかる。ただ大量に持って行くのが大変なのである。江戸時代には水売り商人もいた。インドでは水は神聖を持つといわれる。穢れを洗い流すのだ。水に限らず自然や生命さえも商品化するのが、グローバル企業の際立った特徴である。まさに荒人神である。最期の聖地であったフロンティアも次々に侵されグローバル資本主義は拡大した。いまや種子はもちろんヒトの遺伝子情報の利用も商品である。
(続く)


医療問題 「現場からの医療改革レポート」 Japan Mail Media

2009年03月10日 | 書評
絶望の中の希望ー医師は「医療崩壊」の現状をネットに訴える 第35回

特別配信号(2008年9月18日) 「医療再生のための工程表」 虎ノ門病院泌尿器科 小松秀樹 

1:安全対策・・・医療機能評価機構による医療事故報告制度を主体とする 
2:医療費の増額・・・増額と同時に配分制度を難易度、リスク、責任に応じた方式へ
3:患者理解支援制度・・・メディエーターを中心とした患者家族とのコミュニケーション支援と調査委員会の設置
4:医師法21条の廃止・・・「不審死」警察届け出義務の廃止
5:医師を代表する公益団体の設立・・・日本医師会の解体 三分化
6:厚生労働省改革・・・規範の押し付けから現状の認識から出発
7:医療の質の向上・・・診療行為の質の向上を実施し、適正審査
8:司法への医療情報の提供・・・既存技術で鑑定を引き受け、司法へ情報提供
9:無過失補償制度・・・事故へ迅速補償
10:医療紛争処理を無過失補償に限定・・・民事訴訟の多発を防ぐ
11:刑法211条(業務上過失傷害致死罪)の見直し・・・航空・鉄道・発電など無過失責任を免除
多少医者の都合のいいような気もするが、ステークホルダーとの対話で納得がいくことが必要だ。
(続く)