ブログ 「ごまめの歯軋り」

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インド・パキスタン 宿念の戦い

2009年01月29日 | 時事問題
asahi.com 2009年1月29日2時16分
印パ、TVで「言葉の戦争」 計100局超が応酬あおる
 【イスラマバード=小暮哲夫】インド・ムンバイで同時テロが起きてから、26日で2カ月。事件を機に関係が悪化したインドとパキスタンの間で、非難の応酬が続いている。メディアの発達で両国で計100以上に増えたニュース局が、過去には見られなかった激しい「言葉の戦争」をあおる形になっている。
 「テロ支援を政策にする厄介な国がある」。インドのムカジー外相が21日、首都ニューデリーで述べた言葉は、たちまち電波に乗ってパキスタンの家庭に届けられた。

中東におけるアメリカの権益とCIA・サウジ・パキスタン情報機関のトライアングル パキスタンこそがテロ養成・支援国家でCIAの下請け機関である

 米国政府の「政策課題アジェンダ」を紹介する。米国石油利権がセントガス(中央アジアガスパイプライン)プロジェクトを促進する事にあった。中央アジアのトルクメスタンからアフガニスタン・パキスタンを経てインド洋に石油とガスを輸送するために、米国石油企業の一つであるユノカル社によってコンソーシアムが結成された。アフガニスタン新傀儡政権のハミド・カルザイがユノカル社の顧問であったことは隠しようのない事実である。ユノカル社のアフガニスタン支配が出来たのである。あまりに露骨な暫定大統領の任命である。タリバンとは対ソ連アフガンゲリラとして、米国情報機関CIAによって育成された軍事組織で、パキスタンの情報機関ISIと協力関係をもち、サウジアラビアの財政的援助を得てきた事も公然の事実である。誇らしげにシルベスタ・スタローン主演の映画「怒りのアフガン」に述べられている。1998年にタリバンのアフガニスタン支配が完了した時、利権を巡ってタリバンとユノカルの間に亀裂が生じた。タリバンはしだいにアメリカに牙を向くようになった。

読書ノート 高橋洋一著 「さらば財務省!」 講談社

2009年01月29日 | 書評
財務原理主義から増税・大きな政府を図る財務省 第3回

序(3)

 本書において財務省の政策が論じられているが、財投改革については大きな背景をなすはずであるが残念ながらあまり述べられていない。高橋洋一氏がタッチしていない財投について簡単に富田俊基著 「財投改革の虚と実」(東洋経済新報社)よりまとめておく。財投(財政投融資)とは、国の信用力を背景に融資などの金融的手法を用いる財政政策であり、政治と市場による規律が求められる。2001年度より年郵便貯金と年金の財投への預託を廃止し自主運用にまかせ、特殊法人は財投機関債を市場へ発行して自主資金調達を行うとした財投改革がスタートした。自主調達が出来ない事業には、国が金融市場から調達した国債を精査した上で財投する2本立てとなった。同時に個別の財投事業見直しは「特殊法人等整理合理化計画」と「財政投融資の総点検」によって行われた。これらの改革によって財投計画の規模はピーク時の1996年度40兆円から2007年度の14兆円と1/3にまで減少した。財投計画残高も2007年度にはピーク時の約6割の250兆円に縮減した。財投の貸付先はかって大きなウエイトを占めていた公共事業のシェアーは10%以下に減り、代わって中小零細企業、学生、農業向けの財投機関と地方自治体向けの財投が8割を占めるようになった。2006年には財投の剰余金12兆円が国債償還に回された。この成果を生み出した財投改革とは、組織の改革や財投機関債の発行といったことではなく、個々の財投事業の見直しによって進展したと云うことである。前者の改革を「虚の改革」、後者の改革を「実の改革」と呼ぶ。2007年度から郵便・年金の預託金の払い戻しが完了し、財投債は全部が市場に発行される。2008年度より政策金融機関の改革が実施される。それまでに財務の健全性に問題がある財投機関は当該事業からの撤退を条件に財投への繰り上げ償還をペナルティ無しで行い、免除された補償金で財務の健全化を図る。これによって財投が不良債権を抱えていると云う懸念は払拭された。2008年度から財政投融資金特別会計と産業投資特別会計が統合された。

医療問題 本田宏 編著 「医療崩壊はこうすれば防げる」 洋泉社新書

2009年01月29日 | 書評
医療現場から再建の道を探る八人の医師の提言 第4回

3、「産科の崩壊を防ぐ現場の提言」 桑名千鶴子 (東京医科歯科大学産婦人科)

 人口10万人あたりの母体死亡は、世界が400人に対して、日本は5人と世界一の安全性を確保した。これは戦後助産所(産婆さん)から診療所・病院での出産管理(母子手帳)になったおかげである。これが逆にお産に失敗はないという世評を生んで、「大量出血による死亡」の危険性を無視して、事故があれば医者のミスによる死亡事件として訴訟になる場合が増えた。福島県立大野病院での「胎盤剥離」という事態を一人の医師で処置できず死亡に至った事件をマスメディアが捉えて報道したため警察が出ざるをなくなって医師が逮捕された。お産はもともとハイリスクなのである。こうして産科医が医療現場から立ち去る「立ち去り型サボタージュ」が発生し、産科の閉鎖という医療崩壊につながった。産科医療崩壊の原因として①医師の長時間勤務と低賃金②医療訴訟の増加と警察の介入③「モンスターペイシェント」というクレーマーの増加である。

この産科医療崩壊の解決として、医療側、患者側の真剣な取り組みが必要になる。
①妊娠しても産科を受診せず、出産直前になって救急車で搬入されるケースではきわめてリスクが高い。若い母親の認識を改めないといけない。母子手帳やかかりつけ医師のカルテには重要なデータが記入されている。データなしにいきなり出産では危なすぎるのである。
②ハイリスク出産、超低体重出生児、高齢出産など赤ちゃんに障害の起きる率が高くなっている。全国の周産期センターの増設、NICU(集中治療室)のベット増設が必要である。2008年度の診療報酬改定では確かに産科・小児科に加算がついたが、与えられたパイの中での配分に過ぎず、医療費全体の増加にはならない。厚生労働省の発言力は財務省では非常に弱いらしい。
③女性医師の待遇改善は周産期医療の建て直しにつながる。病院の育児インフラの整備が必要である。


自作漢詩 「空江晩景」

2009年01月29日 | 漢詩・自由詩
空江浪立晩風     空江浪立て 晩風生ず

蘆岸冥蒙宿鳥     蘆岸冥蒙 宿鳥驚く

野市帰鴉飛稍重     野市の帰鴉 飛で稍や重く

長州敗葉散還     長州の敗葉 散て還た軽し

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(赤い字は韻:八庚 七言絶句平起式  平音は○、仄音は●、韻は◎)
(平仄規則は2・4不同、2・6対、1・3・5不論、4字目孤平不許、下三連不許、同字相侵)

CD 今日の一枚 バッハ 「教会カンタータ全集 第1巻 CD-4」

2009年01月29日 | 音楽
バッハ 「教会カンタータ全集 第1巻 CD-4」
グスタフ・レオンハルト指揮 レオンハルト・コンソート
ケンブリッジ・キングスカレッジ合唱団とソリスト
ADD 1972 TELDEC

「我が魂は主を誉めまつる」 BWV10
「その国にて神を誉めまつれ」 BWV11
「泣き、嘆き、憂い、畏れよ」 BWV12