ブログ 「ごまめの歯軋り」

読書子のための、政治・経済・社会・文化・科学・生命の議論の場

関西の私鉄の競争は熾烈です

2008年08月26日 | 時事問題
asahi.com 2008年8月25日
京阪 快速特急など新設 
 京阪電鉄は25日、中之島線開業に合わせた京阪線の新しいダイヤを発表した。これまで発表されていた中之島線直通の「快速急行」をはじめ、「快速特急」「深夜急行」など、新たに五つの列車種別が登場。私鉄最多の10種類に増える。

京阪神では同じ路線で数社が平行して走っています
例えば京都ー大阪の路線ではJRと阪急電鉄が百メートル以内で平行して走っている。しかもJRの料金は阪急電鉄よりかなり高い。京阪電鉄は東の方を走っているので文化圏が違うが。大阪ー神戸の路線ではJR、阪急、阪神の三本が平行して走っている。厳しい競争だが、電鉄会社は鉄道部門はおまけぐらいにしか考えていない。営業の本命は百貨店と不動産・開発だったが、今はどうなのか不勉強で分らない。

環境問題 丸山茂徳著 「科学者の9割は地球温暖化炭酸ガス犯人説はウソだと知っている」 宝島社新書

2008年08月26日 | 書評
地球は寒冷期を迎え、人口爆発で石油は枯渇する事態こそ文明の最大課題だ 第2回

序(2)

 その丸山重徳氏が専門領域を超えて地球温暖化問題に首を突っ込んできた。 「地球温暖化」論に騙されるな!」 講談社(2008年5月刊)などの著書があるが、地質学からの地球環境問題を取り上げ、氷河期と温暖化問題を論じている。あるインタビューに答えて丸山重徳氏は地質考古学より次のような温暖化にたいする見解を述べている。

 「今はみんな、気温が異様に上がることを心配している。 その理由の一つは、スーパーコンピューターの過信ですよ。僕はあんなものは予測にも何にも役に立っていないと思う。数値実験よりも、古気候の解析の方が、遙かに精度がいいんですよ。 何故かと言うとね、大気の運動とか海流とかは、ほんの小さな熱容量で運動が大きく変わってしまうんです。パラメーターの数も何百もある。それらが相互作用している。それをきちんと計算して動きを予測するなんてことは不可能ですよ。いまようやく大気結合モデルとかやってるけど、あんな幼稚なものでは予測はできません。科学的とみなせるような相互作用もパラメーターの中に入っていないしね。今のモデルだと、単に今のサイクルが激しくなりますよ、ということを言っているに過ぎないわけです。・・・・・・・地球の表層の気温は、非常に高温であった時代から、基本的には冷却してきたわけですが、人類が誕生した500万年前くらいから氷河期に入ったわけです。で、その時代から4回くらい気温が落ちている。これが氷河期です。現在は、最後にいったん下がったあとの一瞬の小春日和なわけです。つかの間の間氷期です。でも基本的には氷河期なんですよ。いつ寒冷化するか、それが問題なわけです。どんなことをしても、地球は寒冷化するんです。ところが、いまみんなが問題にしているのは温暖化です。僕は、狂っていると思いますね。いいですか、暖かくなるっていうのは「良い」んですよ。寒くなると、膨大なエネルギーが必要ですけどね。それはですね、過去のデータを見ると歴然としているんです。 ・・・・・この1万年の間の小さな温度変化を観察すると、6000年前にピークを向かえ、その後冷却してきている。もっと小さな周期を含めて予想すると、そろそろ氷河期に入ってもよい時期に来ている。 ところがたまたま産業革命が起こり、人類は化石燃料をせっせと炊いてしまった。それでほんの少しだけ寒冷化に対抗している、というのが現状なんですね。で、そうであるとしたら、何もしなくなったら、いきなり気温は急降下ですよ。そういう微妙な位置に我々はいるわけね。」という。(NetScience Interview Mail 1998/06/18 Vol.008)

 丸山重徳氏は最近の文明論に対しても、文明は人間の脳が造りだしたという観念論が主流であるが、とんでもない文明は気候の産物であると主張する。超長いスパンで物を見ると、人間は地球環境歴史上の極めて特異な生存物かもしれない。

読書ノート  真野俊樹著 「入門 医療経済学」 中公新書

2008年08月26日 | 書評
医療制度を考える上で、医療経済学的視点は欠かせない 第11回
医療経済学の経済学的基礎 (2)

 価値判断を排除する経済学を実証経済学といい、価値判断や望ましい状態とは何かを重要視する経済学を規範経済学と云う。経済学では実証経済学が主流であるが、医療経済学も実証経済学をベースにする場合が多い。厚生経済学は規範経済学に位置づけられる。QOLとか費用便益分析において効用と云うのは価値である。マーシャルの「目的論的な経済思想」の流れをついでピグーの厚生経済学が生まれた。貨幣的な価値に換算できるもので経済的厚生を考えるのである。厚生経済学は社会を構成している個人の経済活動を吟味することで社会の福利を最大にすると云う目的を持つ。したがって積極的な政府介入の必要を説いた。「最大多数の最大幸福」というベンサムの功利主義に由来し、最近の功利主義者センは「各自の潜在能力を十分に発揮できる場を公平にもたらす」という。このピグー的考えに対して、個人間での効用の比較ができないとか効用の定量性がないとか云うロビンズの批判がある。医療サービスと代替手段の効用の等価値点を無差別曲線と云うが満足度要求が高くなると解がない。予算が少ないと解のレベル(満足度)は低い。パイレート効率的な資源配分をきりすてることになる。これを旧厚生経済学の限界であった。

読書ノート ポール・ポースト著 山形浩生訳 「戦争の経済学」 バジリコ

2008年08月26日 | 書評
戦争のケインズ型公共投資説を検証する 第27回 最終回
付録  プロジェクトとしての戦争 自衛隊のイラク派遣

 この章は訳者山形浩生氏の論文である。「戦争が経済的な事業だ」と指摘されているにもかかわらず、事業としての収支報告書はない。日本の自衛隊イラク派遣を例に検証できないだろうか。確かに日清戦争で勝った日本は清国より賠償金を得たので、収支計算が出来る。戦争費用は2335億円、賠償金は3682億円で収益率は57%であった。台湾と朝鮮半島の権益はどう評価するできるのか計算できない。事業計画では勝てる確率をかけて期待収益率をだすのだが、80%の勝率なら期待収益率は5%に下がる。到底普通の事業見通しでは戦争は出来ない相談だ。日露戦争では賠償金はなかったから朝鮮の権益を確認したことと、樺太と千島列島の権益は計算不能である。現代の戦争では賠償金は取れない。寧ろアメリカのように敗戦国へ援助する場合が多い。日本の植民地経営(台湾、朝鮮)は収支では大赤字であった。

イラク派遣費用は880億円であった。では利益は何だったのか不明である。国際貢献での名誉と信用と云うものは煮ても食えない。計算不能である。国際貢献したのだからアメリカは2006年度「思いやり予算」(米軍基地運営費一部負担)2326億円を少し減額してくれたのだろうか。とんでもない、数兆円という米軍基地移転費用を日本に要求している。日清日露戦争は日本経済を一変させるほどの経済効果があった。朝鮮戦争の時、彼岸の火事で日本の戦後経済がテイクオフした。しかしイラク派遣はどんな経済プラス効果があったのか。アメリカ一辺倒の外交は中国・韓国との感情摩擦を引きこした。石油利権は獲得できたのかというと、いまだアメリカの手中で期待はできない。もはや経済分析の範囲外である。

自作漢詩 「病骨詩懐」

2008年08月26日 | 漢詩・自由詩


秋至江邨葉未     秋至り江邨 葉未だ疎ならず

夜涼閉戸臥看     夜涼戸を閉め 臥して書を看る

人生積歳多衰疾     人生積歳 衰疾多く 
   
病骨詩懐有隠     病骨詩懐 隠居有り
 

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(赤い字は韻:六魚 七言絶句仄起式  平音は○、仄音は●、韻は◎)
(平仄規則は2・4不同、2・6対、1・3・5不論、4字目孤平不許、下三連不許、同字相侵)