木偶房 日日録

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異端の皇女と女房歌人 読す

2015年11月27日 | 読後記
異端の皇女と女房歌人       田渕句美子著    角川学芸出版

鎌倉時代は武士の時代なのかと思っていましたが、
天皇家も公家もまだ健在だったという事実を初めて知りました。
これは歴史の教科書で武家の政権ばかりを扱うせいです。
鎌倉時代には、三つの和歌隆盛時代がありました。
後鳥羽院、後嵯峨院、伏見院の時代です。後鳥羽院の時代を飾るのが、
式子内親王、宮内卿、俊成卿女の女性歌人です。
式子内親王
山深み春とも知らぬ松の戸にたえだえかかる雪の玉水
宮内卿
花さそう比良の山風吹きにけり漕ぎ行く舟の跡見ゆるまで
俊成卿女
ながむれば我が身ひとつのあらぬ世に昔に似たる春の夜の月
さらに伏見院の時代には、永福門院が現れます。
真萩ちる庭の秋風身にしみて夕日の影ぞ壁に消え行く
こうしたイメージ世界は日本の琳派の源流のようにも思われます。
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