金を使いまくるのが旅行と勘違いしている恥ずかしい人たちである。
その昔の昔、フランクフルトからパリに移住した際によく見かけた「旗を持つ添乗員の後をカルガモの子どものようについて回る日本人団体観光客」を思い出す。農協婦人部とか村議、町議、町内会などのグループである。フランクフルトではお上りさん日本人はほとんどいなかった。今の日本でもお上りさん中国人が観光ごっこするのは東京、京都、北海道、大阪あたりだけだろう。NHKは飛騨の高山もあげていたが、要するに観光ガイドサイトが勧める観光地というに過ぎない。かつてはガイドブック、今はスマホである。どっちにしても貧相な「お上りさん」である。かつてのパリでも農協婦人部のお上りさんを揶揄していた。ただ金を落としてくれるからチヤホヤしていただけである。添乗員に連れられての観光地めぐりがいかに恥ずかしいことなのかわからない人種である。「旅」はひとりでするものである。清水寺に群がる国内外の観光客をテレビで見たが、ほとんどがアホ面であった。
さて、
今、豊洲やニセコにやって来た中国人観光客が一万八千円のウニ丼とか、三千円のラーメン、五千円のカレーライスを食べさせられて悦に入っているようだが、かつてのパリの日本人お上りさんたちもべらぼうに高いパリのレストランに連れて行かれ、相場の3倍、4倍の「おフランス料理」を食べていた。要するに豊洲の一万八千円のウニ丼である。
インバウンドの飲食代は輸出とカウントされるのでGDPなどそれなりの経済指数に貢献しているかもしれないが、これだけ酷い日本の円安誘導策でこの効果もかき消されるだろう。日本人の守銭奴観光業者だけは儲かる。
問題は、一万八千円のウニ丼が日本社会に定着してしまうことだ。まあ、そんなのものを食べる日本人はいないだろうが、図に乗った守銭奴観光業者らが、その値段を日本人にも押し付けて来る可能性がある。
自分ではろくな料理が作れず、誘い合ってホテルのランチを食べ歩いている日本の右往左往マダムたちもいるからだ。この女たちに一万八千円のウニ丼を勧めたらまず断らない。見栄があるからだ。自分だけかっぱ巻きというわけにはいかないのだろう。
一方、
官民そろって、賃上げ!価格転嫁!つまり物価の大幅値上げ!の大合唱。物価が上がればより多くの消費税が搾り取れる。財務官僚たちの思惑通りである。
普通、物価が上がれば金利も上がる。アメリカは物価も上がったが金利も5、5%まで上がった。
もし1000万円の貯金があったらアメリカでは年に55万円の利息がつく。日本はいくらだ?ネット銀行の高いところでもせいぜい1500円である。日本では、利息というもらえるはずの庶民の財産を国が搾取している。
この円安、物価高では日本の金利はドイツ並みの2、5%はあって当然だが、世界で唯一、禁じ手の自国国債を買い込んでいる日銀の金利負担が大きくなるから金利は上げられない。
異常な円安でインバウンド中国人たちは、一万八千円のウニ丼を食べ、日本人たちはスーパーの見切り品コーナーに群がっている。
こんな国に誰がした!
安倍晋三と黒田東彦である。
まあ、大盛りのウニや脂ギタギタの大トロ、脂というサシの入ったA5ランクの牛肉は命を縮める。バターと生クリームたっぷりの日本人向けおフランス料理と同じである。
納豆に豆腐、味噌おにぎり、ほどよく発酵した漬け物などなど。一万八千円のウニ丼より旨い日本の食べ物である。
かつてのパリのお上りさん日本人や豊洲のお上りさん中国人にはわからないだろう。
本当の「旅」を知らない連中だから。
GDPで日本はドイツに抜かれたとメディアが騒いでいる。なんのことはない、数年のうちにインドにも抜かれる。資源のない日本は科学技術だけが唯一、国富の基本であった。テレビ技術も液晶も特殊鋼も半導体もワクチン製造も造船もかつては日本が世界を牽引した。
今はすっかり落ちぶれてしまった。ロボット技術だけがなんとなく残っているという状態である。
こんな国に誰がした?
安倍晋三氏である。旧帝大系の科学予算を締め付け、その浮いた金を加計学園などのどうでもいい私立大学に回したからである。その片棒を担いだのが現在の神田財務官。為替相場のニュースによく出てくる官僚である。
加計学園などの私立大学から新しい科学技術が生まれたというニュースは聞かない。先端の感染症対策に寄与すると喧伝された加計学園岡山理科大学獣医学科は、コロナ禍でどんな役割を果たしたのだろうか。
科学技術がすっかり廃れてしまった日本。今は、争うようにして台湾の半導体メーカーの誘致を企てている。
自分で最先端の半導体さえ作れなくなったのだ。ドイツにも抜かれ、インドにも韓国にもカナダにもサウジにも追いつかれる日本。
こんな国に誰がした?