とぎれとぎれの物語

瀬本あきらのHP「風の言葉」をここで復活させました。小説・エッセイをとぎれとぎれに連載します。

あちこち「STOWA」 434 薬師丸ひろ子 Woman ~Wの悲劇より~

2018-09-27 00:11:48 | 日記
大人の薬師丸ひろ子像。それを感じさせる映画そして主題歌。アイドルとして見られていた領域からの脱皮を遂げた記念的な作品です。


薬師丸ひろ子 Woman ~Wの悲劇より~



『Wの悲劇』(ダブリューのひげき)は、1984年12月15日に公開された日本の青春映画。監督は澤井信一郎。薬師丸ひろ子主演。カラー・108分。併映は原田知世主演の『天国にいちばん近い島』。15億5000万円の配給収入は1985年の邦画で4位となった。
夏樹静子の小説『Wの悲劇』が原作とクレジットされているが、小説は本映画中で上演される舞台劇の原作という形になっており、ストーリーはその舞台を演じる女優の成長と恋を描いた青春映画である。
作品および監督の澤井、主演の薬師丸、助演の三田はこの作品で数々の賞を受賞し、特に、薬師丸ひろ子がアイドルから大人の女優に成長した映画としても有名である。また、薬師丸による主題歌もオリコンチャート月間1位を記録するヒット作となった。


作品解説

原作の小説とは設定が違い、舞台女優を志望する女性が劇団のスキャンダルに巻き込まれ、それをチャンスと逆手に取り成り上がっていくストーリー。原作小説のメインストーリーは映画内の劇団が公演している舞台のストーリー(劇中劇)となっており、映画内に原作ストーリーをそのまま内包した形で展開している。こういう構成になったのは、澤井信一郎に監督の依頼する前に、ミステリーの謎解きの説明が映画的でないという理由で既に何人かの監督に断られていて、澤井は原作を劇中劇にして、劇団の研究生の青春映画にすることを条件に引き受けたため。『麻雀放浪記』のシナリオを手伝ったことで縁のあった和田誠からの「謎解きミステリに名画はない」との言葉も後押しした。また、劇団という設定について監督の澤井は、スターである薬師丸にオーディションで落ちるという役を与えることで人生経験を積ませたかったと述べている。別説として、黒澤満プロデューサーによれば、原作は冬の山荘の話なのに撮影が夏になるため映画の設定を変更し、角川春樹が原作者の夏樹静子を説得したと話している。

劇中劇の外枠部分のストーリーはアーウィン・ショーの短編小説『憂いを含んで、ほのかに甘く』を参考にしていて、それを翻訳者常盤新平が盗作呼ばわりするなど議論が起こった。これに対し、小林信彦はキネマ旬報で「ヒントを得ることは盗作ではない。これを盗作とすれば、日本映画の大家の名作、現代日本文学の代表作の幾つかが、盗作になってしまう。」と援護するコラムを書いた。また、映画評論家の蓮實重彦や脚本家の野上龍雄も擁護した。結局、訴訟には至らず、毎日新聞も盗作でないと判断し、毎日映画コンクール脚本賞受賞の運びとなった。澤井監督は、この騒動で角川や原作者の夏樹静子に迷惑をかけ申し訳なかったとインタビューで答えている。

劇団の演出家役で蜷川幸雄が出演し、実際に劇中劇の演出も担当している。また、当時テレビで活躍していた芸能レポーターの梨元勝、福岡翼、須藤甚一郎、藤田恵子が、静香のスキャンダルと舞台『Wの悲劇』の突然の主役交代を追及するレポーター役で出演している。名優藤原釜足の最後の出演映画でもある。

ストーリー

三田静香(薬師丸ひろ子)は劇団「海」の研究生で、女優になるために努力を重ねる20歳の女性。そんな真摯な静香を公園で見初めた森口(世良公則)は元劇団員の26歳、今は不動産屋の社員をしている。

静香は劇団の次回公演『Wの悲劇』の主役選考オーディションに臨むが、同期のかおり(高木美保)が役を射止め、静香は物語の冒頭でひとことだけ台詞のある端役(兼プロンプター)を担当することになった。オーディションに落ちて落ち込む静香に、森口は俳優時代の心理的な苦悩を語る。そして、森口は、静香がスターになれなかったらという条件で結婚を申し込み、反対に静香が役者として成功した場合はサヨナラの意味も込めて楽屋に大きな花束を贈ることを約束する。

そんな静香に、危険な第2のチャンスが待っていた。『Wの悲劇』公演のため大阪に滞在中、看板女優である羽鳥翔(三田佳子)のホテルの部屋で、羽鳥のパトロンの堂原(仲谷昇)が腹上死してしまったのだ。スキャンダルになることを恐れた羽鳥は、たまたま部屋の前を通った静香を呼び寄せ、身代わりになることを頼む。その見返りとして、続く東京公演でかおりを降板させ、静香を主役へ起用させることを約束する。

舞台への情熱が勝った静香はその申し出を承諾し、羽鳥の代わりにスキャンダルの当事者としてマスコミの矢面に立つ。
そして、静香にとって初めての大舞台となる、東京公演の幕が上がる。羽鳥の後押しもあって、静香はステージの上で全身全霊で役柄を演じきり、観客や団員達の賞賛と祝福を受ける。しかし栄光もつかの間、新しいスターを取材しようと集まった報道陣の前に真相を知ったかおりが現れ、事の全てを暴露、静香を刺殺しようとするが、森口が静香を庇って刺される。一夜の名声から再びスキャンダルの汚名をかぶった静香だが、同時に自分の道は舞台にしかないことを確信する。静香は女優として再起することを誓い、森口に別れを告げる。そんな静香の去り際を、森口は拍手で見送る。
(「Wikipedia」より)