とぎれとぎれの物語

瀬本あきらのHP「風の言葉」をここで復活させました。小説・エッセイをとぎれとぎれに連載します。

山の上の観世音菩薩像

2013-01-23 22:26:44 | 日記
山の上の観世音菩薩像




 古賀所長や佐山医師の許可が出ましたので、小室さんとの窯場のお弟子さんとが協力して農場の裏山に観音像を設置しました。解体されることを前提にして300ピースに分割して作られていましたので、その一連の作業はあまり時間がかかりませんでした。
 岡田さんの農場の会員さんたちもたくさん集まってその作業を見守っていました。出来上がるとどっと歓声が上がり、周りの山々にこだましました。・・・その翌日、岡田さんが早朝私に電話をかけてきました。


 まっ、とにかく不思議な眺めですから、畝本さん、すぐに来てください。

 えっ、不思議な眺め、・・・どうしたんですか。

 観音像ですよ。

 観音像がどうしたんですか。

 ちょっと言葉では・・・、ですから、すぐにきてください。そういう岡田さんの言葉にせかされて、私は農場にとんでいきました。

 あそこです。あそこに雲のような靄のようなものが湧きあがっています。そう言われて、私は山の上の観音像を見上げました。すると、ほんとうに雲のようなものが像にまとわりついていました。

 ほ、ほんとうですね。不思議な雲ですね。

 瑞兆です。これからいいことが起こりそうです。

 ほんとに、瑞兆ですね。

 郁子さんの出発を祝っているような・・・。

 郁子観音ですね。

 そうです。そうです。郁子さんの化身です。

 小室さんには連絡しましたか。

 しました。まもなく来られると思います。

 農場の未来をずっと観音さんが見守ってくれますね。

 ありがたいです。この農場のシンボルとして迎えてよかったです。

 この農場だけではなく、この辺りの土地の守護像ですね。

 これで出雲の新しい名所が出来ました。農場の周りを見回すと、いつの間にかたくさんの地元の人が集まっていました。

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