とぎれとぎれの物語

瀬本あきらのHP「風の言葉」をここで復活させました。小説・エッセイをとぎれとぎれに連載します。

大樹に似合う花

2012-08-26 23:12:58 | 日記
大樹に似合う花


 大樹に着生するコチョウラン


 古賀画伯の勇気ある発言が、私の心を揺さぶり続けていました。二つの家族が協力して大きな仕事を完成させれば、なるほど、家庭的なシコリは随分解消されるかもしれない。しかし、アドバルーンを揚げただけではいけない。せっかくのイベントが時間とともに壊れ、いずれ忘れ去られていく。私はそういう思いに囚われて思案にくれた挙句、長柄さんに相談しました。


 古賀画伯は地元に根を下ろした活動をと考えておられるようです。地元を味方につけるいい方法はないでしょうか。

 空き家と廃校になった学校とは根本的に性格が違いますね。

 そうです。そこです。

 小学校という公共の場所を使うのであれば、地元のお方にたくさん来ていただかなくてはいけません。

 そうです。そうです。

 地域興しの拠点として機能しなくては地元はついてきませんね。

 佐山先生は多少そういうこともお考えのようですが、理念というか、観念というか、そういうものが先行しています。古賀画伯はその点を言いたかったと思います。

 千年椋の樹の周りに集まったものが出来ることは、ささやかな花を咲かせることではないでしょうか。

 えっ、花。・・・長柄さん、貴方も随分観念的で分かりにくいですね。

 観念的ではないです。

 と言いますと・・・。

 アドバルーンなら誰でも揚げられます。しかし、花を咲かせることはなかなかできないと思います。

 長柄さん、・・・困ったなあ、もっと具体的に・・・。

 畝本さん、私もあの小学校の卒業生です。だからよく分かるのです。・・・小学校時代で一番心に残っていることは、やはり友達です。家族も勿論大切だけれど、友達もそれに劣らず大切です。

 いや、それは言えますね。で・・・。

 同窓会です。あそこで同窓会を開くんです。

 えっ、小学校に集まるんですか。

 そうです。そうすれば花は咲くと思います。

 いよいよ分からなくなりました。

 畝本さん、あそこに経済的な視点を取り入れたら旨くいくと思います。

 経済的・・・。

 はっきり言いましょう。地元の一人ひとりが大切なものを持ち寄って陳列する部屋を作るのです。農産物、いいでしょう。手芸品、いいでしょう。骨董品、それもいいでしょう。学校にゆかりのある人・・・いや、関わりのない人でも広く呼び掛けて市場を作って安価で販売してはいかがでしょうか、しかも長期的に。

 確かに・・・人は集まりますね。でも、芸術作品の展示とそぐわないような・・・。

 そんなことはないと思います。相反するものの方が却って相乗効果を生むと思います。

 佐山先生から子ども教室の話もありましたが・・・。

 おっ、それもいいですね。次世代に繋ぐには効果的ですね。

 で、そういう宣伝と言うか、広報と言うか、そういうことはどうするのですか。
 
 地元の自治会を根気強く回り、最終的には市役所を動かす。・・・草の根の活動を協力してやっていけば、いずれ・・・。

 うん、長柄さん、ぼんやり分かりかけてきました。古賀画伯や佐山先生に話してみます。説得する自信はありませんが。

 私も協力します。

 

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