まにあっく懐パチ・懐スロ

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(90年代のパチンコ・パチスロ情報がメイン)

ファイナル(奥村、ハネモノ)

2014-06-18 16:31:46 | ハネモノ

今回紹介するのは、1993年(平成5年)に奥村から登場した新要件ハネモノ「ファイナル」


賞球は「6&13」、最高継続ラウンド15R(10C)で、平均出玉は約1500発。

一応、カテゴリー上は「ハネモノ」に分類されるが、その実態はまさに「超爆裂権利物」だった。連チャン規制が強まりつつあった当時にあって、「最後の連チャンハネモノ」ともいわれた。パッと見でも、ハネモノというより権利物と呼んだ方がしっくりきた。

デジタルに「33」「77」が出れば連チャンウハウハというゲーム性は、当時のデジタル連チャンハネモノの筆頭「ゴリコップ」(大一)にも負けない、一撃の爆発力を備えていた。15R完走時の出玉もゴリコップ(800個)の倍近くあり、ツボにハマった時の爆裂度はピカイチだった。

因みに、通常デジタルに「33」「77」が出る確率は1/30(表示上確率の「1/45」よりも高い)。また、デジタルの連チャン率は81%と非常に強力だった(これらの数値については、後述)。





1994年(平成6年)、JR上野駅近くに「ピア上野」(現存)が新規開店した折、まだ釘が甘い本機のシマに足を運んだことがある。出玉も好調で、1Fに30台程の設置があったが、そこら中にドル箱を積む客がいた。当然、その陰でドハマリを喰らう者もいたが…。

(94年・開業当時の「ピア上野」設置機種一覧)
・デジパチ…CR花満開、CR野球拳、CRFパワフルII、綱取物語、FパワフルV、FフェスティバルI、カバ次郎X、ミラクルフォースSP、野球拳
・権利モノ(アレパチ)…ポップカルチャー、CRビッキーチャンスI
・ハネモノ…ファイナル、CRダーリンII
・パチスロ…ソレックス2、オリエンタルII、ジャックポットII、ニューパルサー
(1F、2Fがパチ、地下がスロ)


(94年当時の「ピア上野」、朝の開店前風景)


※参考…1992年の上野パチンコ店マップ
http://blog.goo.ne.jp/selfconfide777mc/e/4c81040cf8c9c14b4aa4c0c3f02efcfb

(註)この時期だと、まだ「ピア上野」はオープン前。同店は、マップ上の「マルイシティ」向い、「丸善」(C)の隣に94年2月オープンした。

 





それでは、さっそく本機のゲーム性を振り返ってみよう。



(要所は左右「GO」チャッカー、下段「OPEN」電チュー、中央ヤクモノ、2ケタデジタルの4つ)

    
 (デジタルハズレ時のヤクモノ内部)      (デジタル「33」「77」停止時のヤクモノ内部)          

※回転体の位置の違いが、お判りだろうか…



基本的には「ハネモノ」の為、「チャッカー入賞⇒ハネ開放⇒Vゾーン入賞⇒大当り」という流れになっていた。ただし、本機独特のポイントが多々あったので、以下解説を加える。


(通常時)

(1)盤面左右「GO」チャッカー通過で、下段「OPEN」電チューが0.5秒開放。
(ゲージ上は、電チューへの直接入賞も可能だが、これをNG調整した台も多かった)

(2)電チュー入賞で、ヤクモノのハネが0.4秒開放。ハネが開くには「GO通過⇒電チュー入賞」という2ステップを踏まねばならない。なお、2チャッカーはない。

(3)ヤクモノ内のデジタル始動センサー通過で、赤い2桁7セグデジタルが変動を開始。

(4)デジタルの図柄は左が「1」~「9」の9通り、右が「0」~「9」の10通り。変動後に「10」~「99」(90通り)のいずれかで停止する。

(5)デジタルに「33」「77」が出るとV獲得の大チャンス。それ以外の出目だと単なるハズレで、大当りの可能性は皆無。

(6)ヤクモノ内の「GO」表示の間には、小さな「垂直回転体」がある。この回転体は、通常「★」マークを正面に向けて停止しているが、デジタルに「33」「77」が出ると、クルッと反転して「?」マークの位置で止まる(画像を参照)。

(6)Vゾーンは、回転体真下の「FINAL」と書かれたパネルの裏にある。通常、センサーを通過した玉がVにアプローチしても、Vの周囲がガッチリとガードされている為、入賞のチャンスはない。いずれも、下段のハズレ穴に吸い込まれる。

(7)一方で、回転体の「?」マークには「磁石」が仕込まれている。デジタルに「33」「77」が出ると、この「?」マークが次に役物へ入賞した玉を吸い付けてくれる。「?」に付いた玉は、垂直回転体の力でヤクモノ奥を通って下段に向かい、ほぼ確実にVゾーンへ入賞する。


このように、本機で大当りするには、デジタルに「33」「77」が出る事が不可欠だった。なお、類似のゲーム性を有する「ゴリコップ」の場合、デジタルがハズレでもVに入る事があったが、本機はデジタルが揃わない限り、大当りすることはない。

勿論、デジタルが揃ったのみでは大当りとならず、「33」「77」が出た後、さらにヤクモノへ入賞する事が必要となる。これは、ゴリコップと全く同じ。スルーや電チュー、寄り等の釘が悪いと、せっかく「33」「77」が出たのにハネが一向に開かず、また小さなハネが玉を拾わずに、イライラ、ジリジリさせられた。




(大当り中)

大当り中は、回転体の「?」マークが正面に向いて停止する。最初にヤクモノに入った1個が、「?」に吸い付いて「貯留」される。10カウントで貯留は解除となり、「?」に付いた玉は回転体によって下段へと送られ、ほぼ確実にVゾーンに入賞する。大当り中は、ほぼ15R完走する造りで、完走時の出玉は約1500発と多い。



(大当り後)
大当り終了後、デジタルは朝一出目「37」※を表示するが、一度「33」「77」が出て大当りすると、「37」の1回転目に「33」「77」が出やすく、しかも何度も連続する特徴があった。この強力な連チャン性こそが、本機最大のウリであった。好調時は一気に万発越えもある一方、せっかくの出玉が1回の大ハマリで全飲まれとなる事も、決して少なくなかった。

まぁ、デジタルの確率自体は「1/30」だが、デジタルを回すプロセスが複雑だった分、投資はかさみ易かった訳だ。また、GOチャッカーが通過式で賞球がないことも、投資ペースを速める要因となった(GOチャッカー下の入賞口が甘い台は有利)。


※本機は、大当り後出目の「37」(朝一出目と同じ)から連チャンした為、朝一にも連チャンの特典(モーニング)があるのではないか、との見方があった。だが、内部的に見ると、電源立ち上げ時に、特段の怪しい部分はなかった。ただ、実際は朝から派手に連チャンするホールも多く、店側が大当り後の連チャン状態を「仕込む」ケースはあった。




(解析編…大当り確率、および連チャン率について)


★大当り判定方式

(1)大当り抽選カウンターの移行範囲は、「0~89」の90コマ
(2)ヤクモノ内のデジタル始動センサー通過時に、「0~89」のいずれかの乱数を拾う。
(3)拾った乱数に前回乱数を加算する(加算して90を超えた場合、マイナス90する)。
(4)さらに、(3)の数値に1を加算して、最終的な乱数を決定。
(5)最終的な乱数が「27」or「57」なら大当りと判定して、デジタルに「33」か「77」を表示。
(6)最終的な乱数は、次回判定時に「前回乱数」として参照される。

(7)よって、計算上の大当り確率は、2/90=1/45となるハズである。
(8)しかし、実際の確率は、それより高い3/90=1/30となっていた。理由は(9)の通り。

(9)上記(3)で算出した値が「89」だった場合、(4)で1をさらに加えると、最終的な乱数は「89+1=90」となる。しかし、「90」は「0~89」のカウンター範囲にない為、大当り判定時に不都合が生じる。そこで、(3)の算出値が「89」だった時は、最終的な乱数を強制的に大当り値「57」に書き換える。よって、(3)の値が「89」でも大当りと判定される。すなわち、大当り乱数が1つ増えたのと同じ状態となり、実質的な内部確率は「3/90=1/30」となる。



★連チャンシステム(乱数書換え方式)

(A)デジタルに「33」「77」が出ると、前回乱数を強制的に「162」に書き換える(通常時は取り得ない数値)。
(B)この場合、上記(3)の算出値は必ず90を超えるので、(3)において「マイナス90」される。
(C)さらに(4)で1を加算した時、最終的な乱数が「90」を超えると、今度は強制的に大当り乱数「57」に書き換える(上記(9)と同じ処理が働く)。
(D)前回乱数が「162」の時、最終的な乱数が「90」以上になるには、センサー通過時に拾った乱数が「17~89」(73通り)の範囲にあればよい。一方、「0~16」(17通り)の乱数を拾った場合は、最終的な乱数が90未満となり、大当り値への書換えは起こらない。

(例1)センサー通過時の乱数が「17」だった場合、「17+162-90+1」=「90」となり、最終的な乱数が「90」以上なので、大当り値「57」への書き換えが発生(連チャン継続)。
(例2)センサー通過時の乱数が「0」だった場合、「0+162-90+1」=「73」で、最終的な乱数が「90」未満なので、大当り値への書換えは起こらない(連チャンストップ)。


(E)よって、大当り後は、「0~89」(90通り)の乱数値のうち「17~89」(73通り)を拾うと、大当りと判定される事になる。すなわち、連チャン率は73/90≒81.1%



このように、一度デジタルが当たれば、8割以上の高確率で「33」「77」をループするのが、本機の連チャン時の特徴であった。

「ゴリコップ」(天国モード時は9割が「3」「7」選択)とは連チャンの仕組みが違うが、1回の出玉の多さとループ率の高さで、爆裂度では引けを取らなかった。

それにしても、これだけの優秀な連チャン機が、「平成5年末~平成6年初頭」という連チャン規制の開始時期にデビューした事は、実に残念としか言いようがない。登場時期さえまともなら、もっと各所で話題に上がった事は間違いないだろう…。