せっけい日和

MKデザインスタジオ一級建築士事務所柿本美樹枝のブログです。設計者として、生活者として、多用な視点で綴っています。

次の世代の資産として建築とまちづくりを考える

2018年11月26日 | 模型・実験・見学・講習・イベント

↑道路の拡張に伴い、軒先を切られた建物を保存活用した形跡が残る街並み


ヘリテージマネージャーの講習会で、
先週、福岡県八女福島で、重要伝統的建造物群保存地区のあり方を学びました。

城下町の町割りに沿って、建築が残っているのが、まちの特徴である
重要伝統的建造物群保存地区、略して「重伝建」


↑城下町だったために、枡形だった道路。その跡が残る角の建物

せっかくの学びを自分自身が忘れないためにも、
そして、皆さんとも共有したく、ブログに綴ります。

熊本復興にも関わってくださっている
八女市の設計事務所のNさんに、

地域一丸となって、八女福島の歴史的建物の保存活動に
取り組んで来られた経緯を伺いました。

最初は、一人二人が捨て石になって(私財をつぎ込んで)
建物を改修はじめた後に、NPO法人などの組織化、
行政の施策、、、補助金の活用など、

活動を広げていったことを、順を追って説明くださいました。
いろいろな苦労や、大変な思いもあったことでしょう。

淡々と、説明されますが、まちの人を、行政を巻き込んで活動、
やはり並々ならぬエネルギーを感じます。

講習を受けた方からの質問
「資金源も大変なのでは?」

補助金があったとしても、その関わりへの時間は相当なもの。
N氏の答えは
「自分の代では、投資した資金も回収できないかもしれない。
だから、次世代に引き継ぐための手続きもしている」とのこと。

それは、つまり、今の自分のエネルギーと財力を、
次の代のために、まちの建築の維持に注いでいるということ。

歴史的な街並みの継続は、
そういった人の社会全体の利益を見据えた
利己ではない、他利への熱い思いが、原動力なのかもしれない。

建築が好き、故郷が大事、の思いを超えた、
その時代の先を見据えた環境への想い。

これまでの建築の文化も、これからの建築の文化も
そんな人々の熱い想いに支えられてきたのだろうと
想像を馳せました。

伝統的な構法で住まいづくりに取り組む、知り合いの大工さんも
自分の仕事は、200年先を見ていると、おっしゃっていたのを思い出しました。

伝統的な建築を通じて感じるのは、

建築の仕事は、創るだけではなく、
建物の生命を引き継ぐことも、大きな仕事なのだなと、

歴史的な建築の造りや、工夫、
地域の特徴といった、建築の物質的なものだけではない
建築の大義を学んだ気が致します。

人がいてこその建築、そして、建築あってこそのまち。
当たり前のことが、じんわりと心にしみた講習でした。

観光的な町並み散策では得られない
大きな学びに感謝致します。

それでは、具体的な物質的な部分のレポートです。

2階が単独の窓だと倉庫だった証で、商人型の町家。
蔵が離れてあるのではなく、住まいと一緒になっている土蔵のような「居蔵造り」
防火の備えも兼ねています。


2階の窓が連想窓だと、職人さんの住居だった証で、職人型町家だそう。


お隣と一枚の壁を共同で使っている「もやい壁」が残っている貴重な場所


修復のディテールでは、石場建ての周りに、軒が切られたことにより
より雨仕舞いをよくするために、道側は地覆木が用いられたり


蔀戸の跡が残っていたりします。


八女といえば、お茶が有名です。
お茶の選定をした場所は、自然光の間接照明。

その建築的仕掛けが、なんとも格好が良いのです。




他にも、ポイントはたくさんありましたが、この辺で。

私自身、熊本から近いものの、八女を訪れたのは初めて。
たくさんの感動がありました。

いろいろとありすぎて!?
見きれないくらいでした。

ぜひ、また訪ねたいですね。
今度は家族や、興味のある友人知人と来ようかな。
解説できるくらいに、詳しくなって、かしらね、笑。
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