せっけい日和

MKデザインスタジオ一級建築士事務所柿本美樹枝のブログです。設計者として、生活者として、多用な視点で綴っています。

民家再生の仲間がいる心強さ

2017年08月31日 | 日本民家再生協会

↑写真は次回の民家誌のへ検討原稿

昨晩は、日本民家再生協会の技術部会でした。
今回は、横浜在住中にタイミングが合い、参加できました。
夕方から夜にかけて3時間以上の勉強会です。

実務レベルから思想、哲学、建築の話など多岐に渡り
協会のメンバーの懐の深さに感服しつつ
学びの多い場となりました。

「民家」誌に連載中の再生技術の原稿を皆でチェックしながら
更に、揚家、曳家、現地再生
の施工写真をみて、大盛り上がりに。

なかなか、他の現場の様子に触れるチャンスがないので
来れてよかった!

動画で曳家の瞬間が再生されると、「おぉ===」と声も漏れるほど。
現地の職人さん、技術の伝承など、これまた感服。

とてもコアな仲間との時間の共有ですが、
私にとっては至福の時間となりました。

メンバーの中に、本当によくコツコツと
粘り強く現場監理をされている方がいて

「あ〜、この苦労は、私だけじゃなかった。」
と感じると同時に、また頑張ろうと勇気ももらいました。

見えない部分にも想像力を巡らし
チャレンジすることは、新築に比べたら
そのエネルギーは、倍近くかかるのではないでしょうか。

それでも、伝統的建物を生かし、生活の場として再生し
暮らしを豊かにしていく仕事としての自負心で
いっぱいになる民家再生の現場。

大変さと面白さは隣り合わせですよね。

設計稼業も現場監理も、経営と同じで時に孤独になりがち。
時にこうして、志を同じくする仲間と会うことが、

刺激にもなり
学びにもなり、
心の拠り所になる

と感じた夜でした。

普段朝方の私が、0時を過ぎての帰宅。
子どもの朝の弁当を作るのに早起きするのが辛い 
次の日となりましたが、今日も頑張れているのも
面白い仕事があるから。

明日から、9月。
夏の疲れを残さずに、、、
秋も張り切って参りましょう。
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江戸末期建築の民家生活を体験して-3『集落保存にみる志を貫く活動』

2017年07月23日 | 日本民家再生協会

↑ブログ掲載の写真は日本民家再生協会のMさん撮影分も投稿に含みます。
一人でも多くの民家ファンを増やすために、使用許可をいただいてます。Mさんに感謝!


民家生活体験レポート最後のテーマは、
3)『集落保存にみる志を貫く活動』
残すことの意味とは?何を大事にして、何を切り捨てるのか
 〜保存活動家のお話を聴いて、勇気をもらったこと〜 です。

伝統的な建物を、当時の佇まいを、
なるべく忠実に、保存するということの大変さを、
二日目の夜、全員が集合しての席で
披露くださった、Hさん。

長年、活動にかかわってきてくださった方の真摯なお話に
会場の皆が、胸を撃たれました。



まず最初に、保存活動は、最初は一人の「水源を守りたい
の気持ちからだったというのには、驚きました。

開発行為を避けるのが目的だったそうです。
水と木と暮らしを結びつけて活動していくうちに
古民家に関わるようになった私自身も
森と樹と暮らしを繋ぐ活動を始めた頃は、

「柿本は建築をやめたのか?」
という人まで、実は現れていた数年前。
自分への迷いがなかったか?というと嘘ではありません。

この方の存在を知った今、民家へたどり着いた流れは
環境を守ることに通じる、
だから必然だったのかもしれない
と思えました。

とても勇気をいただきました。

現在、その方は亡くなられ、ひっそりと藪の中に
残された有志で石碑を建てられたそうです。

お名前は、表舞台には出てきません。
活動を通じて、多くの反対者や敵もいたとのこと。
語り手のHさんは涙ぐんでおられます。

元の住民ではないその勇者は、遠くは飯田市から
バイクで木や畳を運び、
民家の修復をコツコツとなさっていたそう。

日本でも稀な民家含んだ周辺環境の保存活動。
何事も最初に行う方の勇気と行動力には頭が下がります。

誰かに褒められるわけではなく、
誰かに疎まられる方が多かったかもしれないその人生に、、
想いを馳せるひと時でした。

実際は、建築家も調査で入っているのですが、
保存方法の折り合いがつかなかったとか。

専門家は、耐震や、快適さ、美しさも求めますからね〜。
費用面も高く見積られたのかもしれません。

民家は、耐震改修はなされていません。
傾きもあり、朽ちている部分もあります。

建築の理想的なカタチにエネルギーを注ぐよりも
むしろ、環境に溶け込む風景としての住まい、
昔ながらの営み、生い茂る草草も環境の一部
という人が造りきれない部分も大切にしている様が
こよなく人に愛される所以なのかもしれません。

素人や地域の工務店の援助を借りながら
人の手で、少しづつ修復を行っている様子が、
私たちの宿泊時にもありました。

自分たちも少しでも役に立てたらと、
屋根の枝払いや、床磨きなど行いました。

↓ぬかで磨くとツヤツヤになった床板


この一連の活動は、民家の持つノルタルジー的な保存ではない、
環境すべてを含んでのことであったのです。

その根気のいる活動と、水源が守られたことに
私たちは感謝仕切れないほどです。

 最後に、個人的にHさんに「志の貫き方」を教わりました。
上から諭すのではなく、心の中に秘めていなさい。

下まで降りて行って(活動賛同者ではないコミュニティのことですね)
そこから、仲間を、人を巻き込んでいくのだよ、とのことでした。

私が、建築の専門分野だけではなく、
全く別の分野、ビジネスの世界に飛び込んでみたり、

地域コミュにテー活動に関わる時間を多く取ったりすることは
あながち、間違っていないかもしれないと思えてきました。

(一説には、成果が出ないのは、やり方が違うからという説もあり、、、
萎えることもしばしば)

遠回りかもしれないけれど、やはり自分を信じて
導きのまま、与えられる機会のままに、
素直に活動していくことも、方法としてあると思えてきました。

言い聞かせているだけかもしれませんが、笑。
(あの世でしか、結果はわかりませんから)

具体的な建築の保存方法とは、また違った、
一人の志を持った勇気ある活動の話。

建築や良き環境が残るのは、一人の孤軍奮闘から、、、
そんなことを教わりました。

何を生かし、何を捨てるのかも、志の貫き方であると、、、
自分軸をしっかりと持つことも、ぶれない活動の継続性につながることも
学びました。

民家を通じて、人生哲学をまなんだ夏の宵です。
長文、お読みくださりありがとうございます。

↓天井が高い空間だと、背の高い私も違和感なし⁉︎ 
鴨居には頭ぶつけそうになりますけどね、笑



下記、NPO法人公開の、保存活動年表抜粋です。

歴史を紐解くと、
昭和45年の集団離村の後、中京の開発業者が大平宿での別荘開発に着手したのを受けて、
大平の自然保護、大平宿の保護のため「マスヤ会」が発足し、
「大平宿を残す会」に名称変更。
その後、全国歴史的風土保存連盟・全国町並み保存連盟に加盟、大平保存再生協議会発足したとあります。
さらに昨年、管理母体、NPO法人「大平宿をのこす会」から、飯田市の観光公社が管理しています。

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江戸末期建築の民家生活を体験して-2『人間が自然の一部に回帰する民家』

2017年07月22日 | 日本民家再生協会


今日は、前回の「民家生活を体験しての気づき」続きです

次のテーマ『人間が自然の一部に回帰する民家』
癒しやくつろぎはどこから生まれるのか?
生きていることが気持ち良いと感じる瞬間
〜江戸時刻で生活してみて分かったこと〜

まず最初に、少し、補足を。
体験生活は、江戸時間で行われました。

<江戸時間の紹介>
日の出と日没の時間を基準に一日を12刻に分けた不定時法で、
午前は、

「夜・九ツ」から始まり、
「夜八ツ」、
「暁七ツ」、
「明け六ツ」、・・・日の出30分前
「朝五ツ」、
「昼四ツ」、、、
と、面白いことに、数字が減っていって、
それぞれに、「○○ツ半」が入ります。

数字が増えていく数え方に慣れているので、不思議な感覚です。
午後は、「昼」「暮」(日没の30分前)「宵」「夜」となります。
自然と一体となった粋な感じですね。

この時間の数え方で過ごすということから
すでにタイムスリップ。


↑苔むした石が古の時を感じさせる。

地球の命と同時進行に自分が生きている
そういったことを思い出させてくれる瞬間です。

電気というものができて、時間の感覚がなくなった現代の暮らしから、
一気に、「地球時間」に引き戻されます。

私は子どもを産んでから、朝型生活になり、
すこぶる調子が良いのですが、
大学の研究室、設計事務所勤務と続いた夜型生活時は
クリエイティブな活動は夜に生まれると思い込んでました!

でも、今はわかります。ひらめきは、朝降りてくるんです。
昼間かもしれない。

そして、自然時間で過ごす方が、幸福度が高いということです。

夜型の時は、愚痴が多かったし、不平不満も多かった気がいたします。
なんとなく、疲れが取れないからでしょうね。
そして、今回、民家の生活をして、ますます感じ入りました。

朝、鳥の声で目覚め、夜、虫の声で眠る。
自然の目覚ましと、ヒーリングミュージック、笑。

南側と北側の引き戸を開け放し、昼寝をした時には、
まるで風と一体となったような瞬間が訪れました。

川のせせらぎの音、草が風で擦れる音、そういった音の中で
まるで大地に自分が浮かんでいるかのような感覚。
これが、究極の癒しなのかなぁと。



自然との一体感を人は思い出した時、
人は心地よいと感じ、癒しを感じるのではないでしょうか。。。

木の空間、自然素材が創り出す住まいの空気感は、
まさに、そこに真髄があると私は思います。

日本の木をありのまま使い、無意識に感じる木の息遣いを、
せめて現代の暮らしの空間にも、
取り入れたいし、取り入れてほしいですね。

今回の体験で、より実感しました。

これからも、自信を持って、木の空間を、
木のある暮らしをお勧めしていけます!
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江戸末期建築の民家生活を体験して-1~『家族の絆を育む民家』~

2017年07月21日 | 日本民家再生協会


この夏の連休は海の日でも、山にこもっていた柿本です。
日本民家再生協会の仲間と、長野県飯田市の「大平宿」に2泊3日。
ガスやマッチに頼ることなくの生活。

「古代発火法」と言われる木と木をこすって火種をつくる
火おこしのやりかたで、囲炉裏に火を灯し、
煮炊きやお風呂を沸かすという生活をしてきました。


どのような集落かというと、風景はこちら
http://www.oodaira.org/home/da-ping-su-nei-de-tu

宿泊の内容は、生活体験だけではなく、
古民家の調査とその考察。
掃除や修復作業も行うといった
民家に住まう家族、そのものになる!という体験。

さらに、集落に住んでいた方の当時の話や思い入れ、
現在の活動紹介などを聴くというものでした。

本当に多くのものを、感じ、話し、受け取った日々でした。

この民家体験を通しての気づきや感想について、
3つのテーマでまとめます。

1) 『家族の絆を育む民家』
家族の絆はどこから生まれるのか?感謝の気持ちが湧き出る時。
 〜民家での疑似家族体験を通じて気づいたこと〜

2) 『人間が自然の一部に回帰する民家』
癒しやくつろぎはどこから生まれるのか?
生きていることが気持ち良いと感じる瞬間。
 〜江戸時刻で生活してみて分かったこと〜


3) 『集落保存にみる志を貫く活動』
残すことの意味とは?何を大事にして、何を切り捨てるのか
 〜保存活動家のお話を聴いて、勇気をもらったこと〜
—————————————————————————

まず、最初のテーマ『家族の絆を育む民家』

電気、水道は来ているものの、
江戸末期に建てられたその民家の当時の生活に近づくべく、宿(家)に着いたらまずは掃除から。
日が暮れぬうちに、炊事、お風呂沸かしです。8人家族+1ゲストの構成。

一度に、沢山の量の料理を作ります。手分けして、野菜向きに野菜切り、お湯沸かしに、火の番、、、。
同時に進行することを、ほぼ8人で分担。
それでも2時間30分ほどかかったでしょうか。(感覚的に)
   *時計のない生活、時刻は拍子木の知らせのみの江戸時代の時刻で暮らす。
↓竃のノスタルジックな写真は、協会のメンバーによるもの



食器を並べ、囲炉裏の周りに各自が座り、
料理を取り分けてゲストをお迎えして、「いただきます。」

この瞬間に、疑似家族が、家族になりました!
囲炉裏の灯が、皆に安心感を与えたのでしょう。
ほっとしながら、笑みもこぼれて。
なんとも言えない連帯感。




お一人だけ、ゲストを迎えたことで生まれた結束感もありました。
料理の出来栄えなど、、、どうかしら?と、みなで息を飲む感じでした。

朝晩と食事を作りながら
家と家族とは何か、とても考えさせられました。

・ 共同で助け合いながら、生活する。
そこに生まれる「互いへの信頼関係」

・ 火を囲む安心感、屋根で雨風をしのげる。
ハードな側面で家により生み出される「安心感の共有、食事を共にする喜び」

お風呂は、夜には湯も冷めて、最後だった私は、
お父さん役の年下男子に追い炊きをしてもらっていたのですが、
何度も窓付近まで来てくれて「熱くないか?湯加減はどうか?」を尋ねてくれるのです。

子ども役の私は、「まだ、まだぬるい」と答えるを繰り返し、、、。

この時も、相手を信頼すること同時に
大きな「感謝の気持ち」が湧いてきました。

自分以外の誰かのために、時間と手間を割いてくれている相手に対して。
昔の暮らしは、家族同士が互いに「愛しているかどうか」などと話さずとも

・ 「互いを思いやって行動する、生活する」そのものが、愛だったのではないかと、、、
そんなことも考えながら、湯に浸かるのでした。

今では、お風呂焚きは機械ががやってくれるから、、
お父さんの家での出番もなく
家族からの感謝って、お給料の額だったりして!?

などと考えが飛躍したりもして。

家族の絆が生まれるのはそういった共同生活からなのだと、
そこがスタートなのだと。だから、より人との関係を深めたければ、
外のレストランで歓談するのではなく、
作業を共にすることなのだと、改めての実感でした。

私が設計する住宅(民家)も、
家族の絆が深まる」そんな仕掛けがある
空間を創ろうと、改まった気持ちと

同時に、私自身、もっと家族に頼って良いし、
頼られてて良いんだなと、、、

このブログのテーマである「ワークライフバランス」にも通じる
気づきがあったのでした。

2)、3)のテーマは次回のお楽しみに〜。
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三位一体で蘇る民家再生&再生に欠かせない制振ダンパー

2017年06月12日 | 日本民家再生協会

↑写真は見学会後半に伺った建物



先週末は、日本民家再生協会の技術部会主催による
現地再生事例の見学会でした。

昭和3年に建てられた伝統的建物を、揚屋して基礎から修復し、
吹き抜けのある開放的な間取りになさっていました。

設計者が提案する家族構成に合わせた部屋数のある間取りから
大胆に上下階ワンルームの構成に。

現場には入り、クライアントさんからの要望で、修正があったそう。

物があったり、構造体の中身が分からなかったりと
解体してみないと、なかなかイメージしにくい民家再生ですが
より良い方向に切り替わった好事例ではないでしょうか。

個人情報なので、写真をアップはできませんが、
設計の知恵、施工の技、そして依頼主の心意気、覚悟をもって
上手くいくのだなと改めて感じた次第です。

自分自身の設計や現場にも置き換えながら、学んだ1日でした。

帰りには移動時間ギリギリまで
近隣の公的な再生事例建築物を訪問。


こちらは庭園に洋風建築にと盛りだくさんの内容でした。

パンフレットには、耐震補強のことは何もなかったので
受付にて、耐震改修はされたのか?と確認したところ、

「昨年まで工事にかかっていたから、行ったでしょう」との回答。

移動の電車の中で調べてみると
工事を請け負った建設会社名が出てきて
さらに、落札価格と、工事内容の簡単な項目がでてきました。

その中に、「制振ダンパー20箇所」とあり。。。

やはり、見えないところでの補強が
施されていることが分かりました。
(役所の公開なので、ネット情報を信じましょう。
便利な世の中になりましたね。)

現在進行中のプロジェクトにも制振ダンパーは採用予定なので
改めて、採用を決意した次第です。

見学して終わりではなく、
学びや気づきを実践に活かしたい!

とさらに決意を強くした伝統建築満喫の1日でした。
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