私が今まで、おたふく、おたふくと言って、
すべてに自信がない態を装っていたが、
けれども、やはり自分の皮膚だけを、それだけは、こっそり、いとおしみ、
それが唯一のプライドだったのだということを、いま知らされ……。
ちくま文庫「太宰治全集3」より
自分の器量がよくないことや父親を亡くしていることなど、
自分の人生の「不幸せなこと」について嘆き悲しむ28歳のヒロイン。
ある日突然、体に吹き出物ができ、それがひどくなって初めて、
自分は「すべてに自信がなかった」のではなくて、
自分の中でそれなりに愛し、誇りに思っていた部分もあったのだ
ということに気づく。この彼女の気づきが愛しい。
心のスポットライトが、
自分の持ち得ないものに当たっているか、
自分の持っているものに当たっているかで、
人生の明暗が大きく分かれるように思う。
幸い、彼女の吹き出物は、大した症状ではないという
医者の見たてであった。
この先の彼女の人生が、幸多いものであることを祈る。
そして私も、もっと「自分の持っているもの」に
スポットライトを当てて生きようよ。
それが自分を「慈しむ」ということではないだろうか。
一週間ほど前に観た「ハウルの動く城」でも、
女性の容姿コンプレックスについてふれられていて、
偶然読んだこの作品も同じようなテーマだったので、
何だか「意味のある偶然」を感じた。
すべてに自信がない態を装っていたが、
けれども、やはり自分の皮膚だけを、それだけは、こっそり、いとおしみ、
それが唯一のプライドだったのだということを、いま知らされ……。
ちくま文庫「太宰治全集3」より
自分の器量がよくないことや父親を亡くしていることなど、
自分の人生の「不幸せなこと」について嘆き悲しむ28歳のヒロイン。
ある日突然、体に吹き出物ができ、それがひどくなって初めて、
自分は「すべてに自信がなかった」のではなくて、
自分の中でそれなりに愛し、誇りに思っていた部分もあったのだ
ということに気づく。この彼女の気づきが愛しい。
心のスポットライトが、
自分の持ち得ないものに当たっているか、
自分の持っているものに当たっているかで、
人生の明暗が大きく分かれるように思う。
幸い、彼女の吹き出物は、大した症状ではないという
医者の見たてであった。
この先の彼女の人生が、幸多いものであることを祈る。
そして私も、もっと「自分の持っているもの」に
スポットライトを当てて生きようよ。
それが自分を「慈しむ」ということではないだろうか。
一週間ほど前に観た「ハウルの動く城」でも、
女性の容姿コンプレックスについてふれられていて、
偶然読んだこの作品も同じようなテーマだったので、
何だか「意味のある偶然」を感じた。