2221冊目はこの本。
三上剛史『社会の思考―リスクと監視と個人化―』(学文社、2010年)
学校事故・事件・災害の問題について、最近の「リスク管理論」的な発想からの議論にはどうしてもなじめないものを感じるので、理論社会学系のリスク管理論や監視社会論への批判を知りたいと思って、この本を読んでみた。
これを読んでみて思うのは、やっぱり「リスク管理論」的な発想から学校事故・事件・災害を論じる議論って、「あぶないなあ」と思うこと。確かに事故・事件や災害の「リスク」は防げるのかもしれないが、他方で人々の不安感に訴えて、世論をバックに強力な国家体制をつくって、個人を政府が徹底的に監視するような社会を生み出しかねないという、別の「リスク」を抱えているように思えてならないわけだ。