不適切な表現に該当する恐れがある内容を一部非表示にしています

できることを、できる人が、できるかたちで

京都精華大学教員・住友剛のブログ。
関西圏中心に、教育や子ども・若者に関する情報発信を主に行います。

数値評価の意味を問うこと

2007-01-30 11:44:28 | ニュース

今、大阪市の経営企画室の検討チームが出した「市民利用施設の利用状況」(2006年12月)という資料を見ていました。これは大阪市のホームページから閲覧可能ですし、PDFファイルでダウンロードできますので、さっそく私もダウンロードしました。

それで、当然ながら、経営企画室の検討チームが大阪市の青少年会館の利用状況をどのように分析しているのか、そのページを見てみました。で、それを見た結果、思わず笑ってしまいました。「この人ら、この数字の意味がわかってるのか?」という意味で。

例えば、利用状況を比較・検討するために、「底面積あたりの年間利用者数」というのを出しています。しかも、同じような計算式を図書館や老人福祉センターにもあてはめているんですよね。

青少年会館と図書館、老人福祉センターは、そもそも同じ目的で作られた施設なんですかね? その利用状況は個別に、事業目的や事業内容に即して比較すべきものではないんですかね? 逆に言えば、経営企画室は「底面積あたりの年間利用者数」を根拠に、その施設の回転率だけが問題にしたくてこの資料を作っている、つまり、事業の目的や中身は「どうでもいい」と考えている、ということが見えてきます。あるいは、うがった見方をすれば、個別の事業の目的や中身を評価する「視点」を、経営企画室は「持ち合わせていない」ということなのでしょうか。

また、経営企画室のレポートを読むと、いくつかの青少年会館は「底面積あたりの年間利用者数」がとても高かったりします。ということは、私などは「とても狭い、あまり設備面ではよくない青少年社会教育施設に、大量の地域の子どもや保護者、住民が押しかけている」という構図がそこに浮かび上がってきます。とすれば、「こういう施設は早急に建てかえ、もっといい青少年教育施設にするべきではないのか?」という意見だって出すことが可能です。

「底面積あたりの年間利用者数」が多いということについて、それでもって、あたかも施設が有効利用されているかのように経営企画室は考えているようですが、「狭くて使い勝手の悪い施設に無理やり多くの利用者を押し込んだ場合」も同じように数字が高くなるわけで、実は「これほど、今まで大阪市が市民利用施設を大事に考えていなかったのだ、ということを示す数字」でもあるとも考えられるわけです。

あるいは、「年間10万人近い利用者数がある」という青少年会館の存在も、このレポートでは紹介されています。「設置目的の異なる施設を数字だけで比較する」というこのレポートの議論の流れからすれば、少なくとも住之江(1.8万人)や西淀川(1.4万人)のスポーツセンターよりも、その青少年会館の年間の利用者数は多い、ということになりますよね。これよりも年間の利用者数の多い青少年会館のほうが多いんですが、経営企画室はそれについてどういう考えをお持ちなのでしょうか? こんな利用状況のよくない施設は存続で、青少年会館は条例廃止から「解体」へと向かうのであれば、いったい、この市政改革って何を目指しているのかわかりませんね。

このように、大阪市役所側が市民利用施設について発表する数字については、その数字の意味をもう一度、私たちの目で読み直して、経営企画室とは異なる観点から評価していく必要がありそうです。少なくとも、青少年会館に関連する数字については、こういう検討をもっともっと、やりこんでいかなければいけませんね。


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

マスコミ関係者にお願いしたいこと

2007-01-30 10:07:50 | ニュース

今日は1月30日(火)。おそらく来月に入れば、大阪市議会で2007年度の予算案の審議に入るでしょうし、4月新スタートに関する大阪市の事業等については、これに関連する市の条例や諸規則の改正なども行なわれることでしょう。

ということは、この間ずっとこのブログで問題にしてきた、大阪市の青少年会館条例についても、この2月から年度末にかけての大阪市議会で、市長側から廃止提案が行なわれ、市議会の審議を経て結論がでるということになります。

しかしながら、マスコミはこの青少年会館の問題について、一部の新聞・テレビ番組などを除いて、何も取り上げませんよね。それどころか、一連の「」施策見直しの動向についても、先日、飛鳥会事件に絡んで例の被告の地裁判決が出たことを少し知らせただけで、あとは何も報道しませんよね。

昨日もこのブログに日之出青少年会館の子どもたちの手紙を紹介しましたし、その前にも、日之出青少年会館の利用者からの手紙も紹介しました。この人たちのおかれている苦しい状況を、また、他の青少年会館に通っている子どもや保護者、地域住民の苦しい状況を、私はとても見過ごすことはできません。そのことを、先ほど、ある雑誌の原稿依頼にこたえて、書かせていただいたところです。

今、まさに目の前で、子どもや保護者、地域住民の人たちが長年利用してきた公的な社会教育施設が「解体」されようとしているところで、マスコミ関係者が一部の人を除き、この問題にぜんぜん注目しないのは、なぜなんでしょうか? 

大阪市の問題について、マスコミ関係者は誰のために、何を伝えようとしているのでしょうか。市政改革推進会議の委員長は勝ち誇ったように自分のブログで改革の「成果」を語っているようですが、ご自分が勝手に言ってるブログならさておき、マスコミは市政改革の旗振り役の主張だけでなく、その裏でこんな苦しい状況におかれている子どもや保護者、地域住民の声もきっちりと伝えてほしいです。 


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする