一枚の葉

私の好きな画伯・小倉遊亀さんの言葉です。

「一枚の葉が手に入れば宇宙全体が手に入る」

月に吠える

2019-03-10 09:58:09 | 読書



       前回のブログで
       萩原朔太郎の『猫町』を取りあげたら、
       やはり『月に吠える』について
       触れたくなった。

       朔太郎の父は東京帝大を首席で卒業して
       前橋で医院を開業する超エリートながら、
       長男の朔太郎は、
       小学、中学、高校と中退、
       大学もうまくいかないという劣等生。

       そういう経歴が創作にも影響しているのか、
       どの詩も病的で暗い。

       朔太郎が処女作の詩集『月に吠える』を
       刊行したのは大正6年、
       30歳であった。

       遅咲きの詩人ながら、
       序文を北原白秋、跋文を室井犀星が書き、
       詩壇、文壇から激賞され、
       一気に名声を高めた。
       

       決して明るくはないが、
       どこか読み手の心を揺さぶるところが
       あって、放っておけない詩。

       2つほど紹介しておこう。
       
       「卵」
        いと高き梢にありて
        小さな卵ら光り
        あふげば小鳥の巣は光り
        いまはや罪びとの祈るときなる。

       「猫」
        真っ黒けの猫二匹
        悩ましい家根うらで
        ぴんと立てた尻尾の先から
        糸のような三日月がかすんでいる
        「あわわ こんばんは」
        「あわわ こんばんは」
        「おぎやあ おぎゃあ おぎやあ」
        「おわああ ここの家の主人は病気です」

        
       
       

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