一枚の葉

私の好きな画伯・小倉遊亀さんの言葉です。

「一枚の葉が手に入れば宇宙全体が手に入る」

桜桃忌 その3

2020-06-23 10:18:05 | 読書


         太宰治は いま風にいうと完全な”ダメンズ”。

         なのに、代表作である『人間失格』や
         没落華族を描いた『斜陽』は、
         いまだに絶大な人気をほこって、
         若者にも支持されています。

         死後、72年たっても衰えない人気、
         太宰文学の魅力はどこにあるのでしょうか。

         いまも昔も、
         矛盾や理不尽なことばかり多くて、
         生きにくい社会です。

         太宰はあるときは「道化」に走ったり、
         あるときは真正面からぶつかって
         深く傷つき、おおいに挫折します。

         もしかしたら、
         そんな挫折つづきの太宰に
         読者は共感をいだくのかもしれません。

         地獄のような日々でも、
         弱さの中に、ある種の「純粋さ」を失わない
         主人公に加担したくなるような感じ、
         読者の一人として分かるような気がします。