太宰治は いま風にいうと完全な”ダメンズ”。
なのに、代表作である『人間失格』や
没落華族を描いた『斜陽』は、
いまだに絶大な人気をほこって、
若者にも支持されています。
死後、72年たっても衰えない人気、
太宰文学の魅力はどこにあるのでしょうか。
いまも昔も、
矛盾や理不尽なことばかり多くて、
生きにくい社会です。
太宰はあるときは「道化」に走ったり、
あるときは真正面からぶつかって
深く傷つき、おおいに挫折します。
もしかしたら、
そんな挫折つづきの太宰に
読者は共感をいだくのかもしれません。
地獄のような日々でも、
弱さの中に、ある種の「純粋さ」を失わない
主人公に加担したくなるような感じ、
読者の一人として分かるような気がします。