一枚の葉

私の好きな画伯・小倉遊亀さんの言葉です。

「一枚の葉が手に入れば宇宙全体が手に入る」

人間失格

2017-11-25 09:21:06 | 読書


      必要があって太宰治を読んでいる。

      『人間失格』は『斜陽』『ヴィヨンの妻』『走れメロス』
      と並んで太宰治の代表作の一つだ。

      「恥の多い生涯を送って来ました」
      これからも分かるように、
      主人公は極端に人や物から身を避け、
      まるで現代のひきこもりのような生活をしている。

      それゆえ、彼は一つの解決策として
      「道化を演じる」ことを学ぶ。
      
      余りにも道化が過ぎて、
      私が若い頃に読んだ時はそれほど思わなかったが、
      (私が歳をとったせいであろう)
      この小説が滑稽譚にさえ思えてくる。

      繊細でもろく、自意識過剰でコンプレックスの塊。
      これは太宰自身を投影しているのだろう。

      太宰はこの小説を書きあげた一ヶ月後に 
      愛人の山崎富栄と入水自殺した。
      わずか38歳である。

      それ以前にも太宰は4回自殺未遂を繰り返しており、
      2回目は道ずれとなった女性だけが死んだ。
      そのため自殺ほう助罪に問われたが、
      実家の長兄の働きで罪はまぬがれた。

      3回目の自殺未遂の後、
      鎮痛剤に使った薬物中毒に苦しめられる。
      精神が混乱し、家族に病気治療と偽られて
      精神病院に入れられ、
      それが「人間失格」となって
      小説に結実するのである。

      一方で太宰は、
      妻・美知子との間に娘をもうけ、
      同年に、歌人の太田静子の間にも娘が生まれている。
 
      前者は作家の津島佑子であり、
      後者は同じく作家の太田治子である。

      
      ここまででも情報が多すぎて、
      私の理解は及ばないのだが、
      太宰治はいまだに若い人から熱狂的に支持され、
      人気は衰えない。
      その人気に迫るべく、もう少し読んでみよう。