いつものように早朝の散歩をしていたら、
ふつうなら同じくウォーキングをする人とか
犬を散歩させている人くらいしか会わない
のに、
どこかのTV局?か何かのワゴン車が2台
停まっていて撮影していた。
「ドラマか何かの撮影ですか」
と聞くと
「景色撮ってるの」
だという。
ちょうど日の出前で、高台からは遠くの山並み
と、その下にある家々がぽぉ~っと赤く染まった
ところである。
折よく飛行機雲が筋をつくっていて、
それにしてもまあ、こんなに朝早く(6時ごろ)
ご苦労なこと。
いったい、何に使うのか。
写真では逆光と半暗闇でよく見えないが、
若い男性のスタッフ8人くらいがカメラを据えて
じっ~と見守っている。
私はお邪魔をしないよう、さっとその場を去って、
歩きだしたのだが、
夜明け前といえば、
島崎藤村の小説『夜明け前』である。
冒頭は
「木曽路はすべて山の中である」
ではじまる。
ストーリーはこんなではなかったか。
中山道の木曽馬籠宿で17代つづいた本陣・庄屋
の当主・青山半蔵は、王政復古に陶酔し、
森林を制限する尾張藩を批判していた。
下層の人々への同情心がつよい半蔵は
新しい時代の到来を待っており、
明治維新に希望をもつが……
新しいものと旧いものとのせめぎあい、
時代はそう簡単に変わらないのである。
いずれにしても
読むのにかなり苦労したことを覚えている。
こういう長編小説を読むのには体力が要る。
そして、冒頭の文だけ強烈な印象として
残っているのだ。