一枚の葉

私の好きな画伯・小倉遊亀さんの言葉です。

「一枚の葉が手に入れば宇宙全体が手に入る」

夜明け前

2017-11-03 14:40:24 | 読書



       いつものように早朝の散歩をしていたら、
       ふつうなら同じくウォーキングをする人とか
       犬を散歩させている人くらいしか会わない
       のに、
       どこかのTV局?か何かのワゴン車が2台
       停まっていて撮影していた。

       「ドラマか何かの撮影ですか」
       と聞くと
       「景色撮ってるの」
       だという。

       ちょうど日の出前で、高台からは遠くの山並み
       と、その下にある家々がぽぉ~っと赤く染まった
       ところである。
       
       折よく飛行機雲が筋をつくっていて、
       それにしてもまあ、こんなに朝早く(6時ごろ)
       ご苦労なこと。
       いったい、何に使うのか。

       写真では逆光と半暗闇でよく見えないが、
       若い男性のスタッフ8人くらいがカメラを据えて
       じっ~と見守っている。

       私はお邪魔をしないよう、さっとその場を去って、
       歩きだしたのだが、
       夜明け前といえば、
       島崎藤村の小説『夜明け前』である。

       冒頭は
       「木曽路はすべて山の中である」
       ではじまる。

       ストーリーはこんなではなかったか。

       中山道の木曽馬籠宿で17代つづいた本陣・庄屋
       の当主・青山半蔵は、王政復古に陶酔し、
       森林を制限する尾張藩を批判していた。
       
       下層の人々への同情心がつよい半蔵は
       新しい時代の到来を待っており、
       明治維新に希望をもつが……

       新しいものと旧いものとのせめぎあい、
       時代はそう簡単に変わらないのである。

       いずれにしても   
       読むのにかなり苦労したことを覚えている。
       こういう長編小説を読むのには体力が要る。

       そして、冒頭の文だけ強烈な印象として
       残っているのだ。