「ひと夏の思い出」といっても私の
思い出ではありません。
先日、年一回のガン検診(成人病検査)
にいったら、病院内のTVがどれも甲子
園の開会式をやっていた。
(検診は毎年、夏に受けることにして
いる)
ああ、美しい。
颯爽としてりりしいその姿にしばし
目を奪われた。
子供ではない、大人でもない。高校生
だからこその青さ、若さがあって、
夢と希望に満ちた眼差しが、緊張感で
きらきらしている。
それで思い出した。
またまた新聞からのネタで恐縮だが、
こんなのがあった。
80歳の女性(神奈川県)の投稿である。
「38年前の8月、息子が在学していた東京
の桜美林高校が夏の甲子園で「初出場
初優勝」の栄冠を得た」
(そういえば記憶にある。あれから38年
経ったことに驚くばかり)
「息子は当時高校2年生で、応援リーダー
でした。甲子園の息子からは毎晩8時に
なると決まって電話があった。
--元気でいますから安心して下さい。
これだけでしたが、まるで選手のように
弾む声でした」
(息子さんの日に焼けた顔、白い歯が
目に見えるようだ)
「炎天下、一球ごとにあがる大歓声。
わが家でもTVの前で奇声を発し、時々
映し出される応援風景が目に留まると
大騒ぎです。
スカイブルーのワイシャツに白いネク
タイ。なかなかスマートな息子の応援
リーダーの姿は忘れることができません」
という内容である。
今、年齢を数えると、その息子さんは
50代半ば、どのような人生を送ってい
るのだろう。
そして80歳のお母さんは、その熱い夏
を思うと、胸がさらにじんと熱くなる
のだろう。
私も加齢のせいか、こういう話に弱く
なった。