一枚の葉

私の好きな画伯・小倉遊亀さんの言葉です。

「一枚の葉が手に入れば宇宙全体が手に入る」

王朝女性と夏

2013-07-27 09:31:07 | 雑記
    

      道路一つへだてた林(鎌倉山)で鳴いていた蝉が、
      今朝はわが家の貧相な庭にもやってきて、
      ”み~ん、み~ん”という粘着性のある鳴き声が
      暑さを一層あおる。

      ああ、古今東西、女性はどのように夏を過ごしてきた
      のだろう。

      一気に平安時代にさかのぼれば、王朝の女性は
      (といっても高貴な家のお嬢様だが)
      画像のように十二単で、成人すれば親以外はめったに
      顔を合わすこともなく、お付きの侍女に守られて
      御簾のなかにひっそりと身をひそめていた。

      侍女から和歌をならい、しつけや手紙の書き方など
      一般常識もほどこされるのですが、なんせ箱入り娘
      ですから、恋にはうぶ。
      妄想に妄想がふくらんで、とんでもない女たらしに
      惚れ込んでしまったり、やっと実った恋の相手が常識
      知らずのぼんぼんだったり。

      逆に男性側からいうと、たいそうな美人だという触れ
      込みでようやく手中にした女性が、いざ逢ってみると
      ひどい醜女(しこめ)だったり、いろいろあったよう
      です。
      
      思わず脱線してしまったが、こんな面白い話は『源氏
      物語』にいっぱい出てきます。

      そういえば、清少納言も中宮定子につかえる女房(いま
      でいう女官)でした。
      定子は一条天皇のお后ですから、ここに宮仕えするのは
      超難関です。
      清少納言は頭がよくて、教養のある女性だったので、
      定子にはとても可愛がられました。

      『枕草子』の随所にあらわれているように、その機知に
      富んだ発想はぴか一です。

      この清少納言は、白といえば黒!で、あいまいなことは
      嫌いで、夏の暑さが大好き。
      実にさっぱりして、竹を割ったような性格なのです。

      
      こういうポジティブ人間には、夏が似合うのですね。
      ネクラの私はますます自信をなくして、蝉の声を聞いた
      だけでも消え入りたくなります。