一枚の葉

私の好きな画伯・小倉遊亀さんの言葉です。

「一枚の葉が手に入れば宇宙全体が手に入る」

桜の樹の下には

2013-03-23 19:07:06 | 自然


      花粉症がつらい、つらいといっているうちに、
      桜が咲いて、もう満開だという。
      こちら鎌倉は少し遅れると思っていたら、今日
      外出の際にみると、昨日今日で一気に咲いて、
      もう見ごろではないか。

      毎年、開花予報にやきもきして早いの、遅いの
      というのだが、こんなにスムーズにあっけなく
      満開になってしまうと、かえって物足りない気
      がしないでもない。各地では予想以上に満開が
      早かったため、花見対策に大わらわだという。

      
      梶井基次郎はこういった。

      「桜の樹の下には屍体(したい)が埋まっている。
       これは信じていいことなんだよ。
       何故(なぜ)って、桜の花があんなにも見事に
       咲くなんて信じられないことじゃないか」

      これは氏の『桜の樹の下には』という短編小説の
      一節で、主人公の気持ちを表しているのだ。

      「俺は(桜の美しさに)不安になり、憂鬱になり、
       空虚な気持になった。しかし俺はやっと分かった」
       
      


      たしかに、あんまり美しいものには、なぜか人間を
      不安にさせたり、憂鬱な気分にさせるものがある
      ような気がする。
      それが文学や、絵画や、音楽といった芸術を生み出
      すのではないか、そう思った。

      梶井基次郎の『桜の樹の下には』は昭和3年の作品
                    (あおぞら文庫)