「オブラートで包む」とはよくいったものだ。
これは本心を隠して婉曲的ないい方をする場合の
比喩として使う。
今年は年明け早々、花粉の被害に見舞われている。
杉花粉で(皮膚科でそういわれた)目の周りが赤く
ただれたことは以前に触れたが、それが治まった
2月初めからは、鼻がむずむずし出して、明らかに
花粉症の症状を呈してきた。
例年のように市販薬でしのごうと思ったが、これが
曲者で、鼻水やくしゃみは一時的におさまるものの
朝から飲むと体がだるく眠くなる一方で、何をする
気も起こらない。
そこで今年は思いきって病院の漢方外来を訪れた。
漢方ははじめて。
そこでもらったのが花粉症をやわらげ、体力もつける
漢方薬なのです。
聞いてはいたが、私は薬を飲むのが大の苦手。
1日に何粒もの健康食品を飲むなんて、もってのほか。
2~3粒の風邪薬でさえ、ちょっと気合いを入れないと
飲めない。
漢方の先生からいくつか飲むコツを教えてもらいました。
その1つ。オブラートで包むという方法です。
(オブラートは薬局で売っている)
薬をオブラート2つか3つに分け、湯のみに水(また
はぬるま湯)大匙1くらい入れ、そのなかに(薬をく
るんだ)オブラートを落として飲む。
ははあ、オブラートはつるっと喉を通過して漢方独特
の匂いはしません。
(なんか、あんかけのお料理を食べているみたい)
おいしいわけではないので、味気ないけど。
今のところ日に2回。ちょっと面倒ではあるが、まあ何
とか漢方入門もクリアした気持ちではあります。
以前はアメやキャラメルでお馴染みだったけど、
今どきの若者には通じないらしい。
この柔軟性のオブラートは明治35年、小林政太郎と
いう医師が、薬を飲むのに発明したのだとか。
そういえば、大河ドラマなどでよくせんじ薬をすり鉢
のようなもので、煎じているシーンを見かけます。
「良薬は口ににがし」というけれど、いかにもにがそ
うで、昔は薬を飲むのも大仕事でした。
反面、いかに現代人が甘ったれてるか、ってことでもあ
りますけど。
そういえば国木田独歩の句にこんなのがあります。
恋は多く人生の苦痛を包むオブラアトなり
「病床録」
明治41年の句ですから、オブラートが世に出て6年目の
句。それだけオブラートは画期的でハイカラだったの
でしょう。