「食べる」「寝る」を最優先させるので、いつも
ではないが、私はたいてい早起きである。
午前4時に起きて(これはほとんど趣味!)簡単
な朝食や洗濯機をまわし、机に坐るのが4時半、
新聞をパラパラめくり、パソコンを起動し、
前日書いたことなどをチェックし、
またまたコーヒータイム。
カーテンをあけると窓から見える山の稜線が少し
明るみはじめる。
今の季節でいえば、夜明けは6時2~3分から
15分の間。
コーヒーをすすりながら暁光をながめる。
この刻だけはポジティブシンキングになって、
あれやこれやの憂さを忘れて、よし今日も元気で!
な~んてけなげに思ったりする。
しかしそれも束の間、
陽が昇ればすっかり現実にもどって、もとのもくあみ
なのだが。
ほんの10分少々の時間。
私にとっては至福の時間なのだ。
(写真は10日間ほど前の夜明け。
ついこの間までは月の下に「明けの明星」
が見えたのだが、天体ショーもどんどん
変わる)
※ 「夜明け」で思い出した。
藤村の『夜明け前』である。出だしは、
「木曽路はすべて、山の中である」
ではじまる。
1886年までの幕末、明治維新の激動期を中山道
の宿場町であった信州木曽路の馬籠宿
(現在の岐阜県中津川市馬篭)
を舞台に、主人公の青山半蔵をめぐる人間模様を
描いた小説である。
藤村晩年の大作で、よほど根気がないと読めない。
私も何度も挫折して、途中でやめ、また読んでは
やめしたことを思い出した。
かくほどに本当の「夜明け」を迎えるのは大変な
ことなのである。