一枚の葉

私の好きな画伯・小倉遊亀さんの言葉です。

「一枚の葉が手に入れば宇宙全体が手に入る」

吉武輝子さん逝く

2012-04-19 21:16:06 | 雑記


      作家で評論家の吉武輝子さんが17日肺炎のため
      亡くなった。80歳。
     
      元ウーマンリブの闘士などといわれると、ちょっ
      と近づきにくいが、最近は「高齢社会をよくする
      女性の会」や「脱原発をめざす女性の会」などを
      旗揚げして、長い間、女性のために先頭を切って
      走ってきた人である。
      いま私たちがあるのも、こうした先輩たちのお陰
      なのだと思うと、自然と頭が下がる。

      昨年は「青鞜」発刊100周年で、あちこちで
      記念集会がおこなわれた。
      こうした集会とも私は無縁なのだが、女性解放運
      動の先駆者・景山英子の生涯を書いたこともあり、
      (本のタイトルは『雀百まで悪女に候』)
      先輩女性に敬意を表するつもりで出かけた。

      ちなみに景山英子は「青鞜」の平塚らいてうより
      20年も前に、女性解放のために闘った人である。
      それは女性の明治維新というもので、男たちに
      踏みにじられて散々な目にあってしまったが。

      話は横道にそれてしまった。
      昨年「青鞜」百年記念集会が行われたのは、記録
      をみると、残暑きびしい9月3日、東京三田の
      会館だった。
      さほど大きい会場ではなかったが、意識の高い女性
      たちでいっぱいだった。

      評論家の樋口恵子さんの司会でおこなわれ、最後に
      病院を抜け出てきたという吉武さんが、客席の前に
      出て(壇上に上がらず)番外編という形でスピーチ
      をした。
      (記憶に間違いなければだが)酸素吸入なのか、
      鼻からチューブを入れたままだったと思う。

      ところがいったんしゃべり出すと、声には張りがあり、
      何といっても喋りたいことが体内に詰まっていると
      いう感じだった。
      それは司会者が止めても停まらないという勢いだった。

      あれから半年あまり、おそらく最後まで、自分たちの
      ために闘ったことのない現代女性の安穏さ、意識の低
      さを(私を含めて)嘆いていたのではなかろうか。
      そういえば仲間の1人だった俵萌子さんが逝ってから
      もう4年になる。
      元気のいい女性がどんどん亡くなる。
                         合掌