一枚の葉

私の好きな画伯・小倉遊亀さんの言葉です。

「一枚の葉が手に入れば宇宙全体が手に入る」

浅草

2012-01-26 20:57:17 | 雑記



    安藤鶴夫(小説家・歌舞伎評論家)の『浅草六区』
    にこんなのがある。

    「私が初めて浅草の舞台稽古を見たんはいつごろ
     の事であったか。
     ……
     オペラ館に「葛飾情話」が上演された時、舞台
     稽古の永井荷風を見たい一心から私は夜ふけて
     オペラ館の一隅に席を占めた。
     あとにもさきにも自作を上演される事の喜びを
     舞台稽古という特殊な衆人の中で、あれほどま
     でに思い切りむき出しに見せた作家を私は見た
     ことがない。
     その夜の偏奇館主人は世にも幸福そのものだっ
     た。
     …………
     鶴のように美しい身を子供のようにぶらさげて
     みたり、…………踊り子たちと声を立てて笑っ
     たりしていたその夜の荷風散人を私は生涯、
     忘れないであろう。
     私はほとんど舞台稽古を見ることなしに、
     一と夜、ほしいままに永井荷風を堪能した」  
     
  
          
     (私)浅草の文化に馴染むにはちょっと構えてし
     まうところがあるのだが、こういった文章を読む
     と折をみてまたいってみようかと思う。
     (写真は浅草でみた看板)