一枚の葉

私の好きな画伯・小倉遊亀さんの言葉です。

「一枚の葉が手に入れば宇宙全体が手に入る」

批評家にはなれない

2009-11-17 20:11:34 | 芸術
    「箱根」 岸 宏士 絵

    本来なら「新制作展 10」となるのだが、
    あえてこんなタイトルに。
    10回にわたって続けてきた「新制作展」、
    最もいいたかったのはこれである。
    
    この展覧会でいちばん好きな絵。
    これまで掲載したのはすべて、これを載せる
    ための布石だったような気さえする。

    しかし、しかしである。
    なぜこの絵が好きなのか、うまくいえない。
    理路整然と自分の気持ちを表現できない
    もどかしさ。
    で、親に叱られた小学生みたいに好きな理由を
    あげてみた。

    全体のトーンをなす深緑というか、群青色とい
    った色調が好き。
    (光線のせいか、実物とちょっと色合いが違って
     写ってしまったが)
    視界をさえぎらない、のびやかな絵がいい。
    絵を見ていると自然に引き込まれ、自分がその
    尾根に立っている爽快さがある。
    さらにいうと、
    毎日見ていたい絵、毎日見ても飽きない絵である。

    ……と、言葉の貧しさに辟易していたら、十年以上
    も前に所属していた文学の同人誌時代を思い出した。
    作品を持ち寄って毎月、合評会をひらく。
    (取りあげられるのは先生の眼鏡にかなった一定の
    レベル以上のもの)
    私の苦手とするのは、順番に回ってきて自分の意見
    をいうことだった。
    作品の良し悪し(自分なりのものさしで)は分かる
    のだが、的確に表現できない。
    その同人誌には結局、3年ほどいたが、最後まで
    慣れなかった。    
    つくづく批評家(評論家)にはなれない、と思った。

    だから新聞雑誌などで、見事言いきっている文章
    に出会うと、う~とうなってしまう。
    好き嫌いは私の場合、感覚的、あるいは直観でしか
    なく、いまだに人を納得させることがいえないので
    ある。
    小説だけでなく、絵もしかりなのだ。