今夜も本をまくらに。

山歩きが好き、落語が好き、おいしい物が好き、中島みゆきが好き、
でもやっぱり活字がなければ生きていけない私。

悪の芽

2023年06月20日 | 「本」のひきだし

ブクログより





小学校時代から優等生で、その後もエリートコースを歩み、結婚して2児をもうけ、都市銀行に勤務する安達。
ある日、大勢の人が集まるイベント会場で、大量殺人事件が起こる。

犯人もその後焼身自殺で亡くなってしまうが、その犯人は小学校時代の同級生だった。
当時安達は、あるきっかけでその同級生を疎ましく思うようになり、いじめのきっかけとなる出来事を起こしてしまう。
彼はいじめがきっかけで不登校となり、その後の人生も芳しいものではなかっただろう。
安達は彼の人生のつまづきが小学生時代のいじめが発端であり、さらに今回の事件の動機も突き詰めればいじめが原因なのではないかと悩む。
しかし本人が亡くなってしまい、その動機も原因も究明されないままだが、世間がいつ彼の過去のいじめに行きつくか、自分の名前が浮上するか安達は苦悩のあまり体調を崩してしまう。

しかしやっぱり、彼の動機を知りたい、いじめが事件の発端となったわけでは無かったと究明したい。そんな一心で一人調べることにしたのだ。

まあ、言ってみれば自分の保身のためだけで動くんだけど、わかったことはやっぱりこの世の中は不条理だということ。
人間は動物をやめて、社会を作ってきたのにそこに強者、弱者がいるのはおかしい。
生物の進化には何万年もかかる、人間がすべて優しい人になるためには何万年もかかる・・・・

すべては絶望から始まった。



悪の芽 / 貫井徳郎

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