今日のおやつは
城山三郎著
『そうか、もう君はいないのか』です。
この小説は著者が奥さまに先立たれ
出会いから別れまでを振り返っていく私小説です。
荘厳な城山節はあまり感じられず
どちらかと言うと抑えた筆致で描かれる奥様像は
やりたいことをやる夫を陰日向に支える伴侶として
理想の夫婦像ともいえる関係を紡ぎ出しています。
特に最初の出会いでは
奥様の第一印象を『天から妖精が降ってきた感じ』と表現しているが
筆者にとって奥さまは今際の時にあってもやはり妖精だったんだろうなと思わせてくれる。
取材ついでの旅行など
何気ない日常の風景ではあるのだけれども
亡くなったこと
『当たり前にそばにいてくれたことの感謝』を再確認するのだろう。
もちろん
普段から感謝の言葉もかけている
でも、そこにいないという現実におかしくなってしまいそうな自分に
心の均衡を失わないように改めて亡き妻への思いを反芻しているようにも読み取れるほど、
静かな語り口により一層苦しさを共有してしまうのです。
そして
奥様が入院して昏睡状態になっている最中
かねてより引き受けていたテレビの特番の仕事『NHK年末特番【総理と語る】』のために
病院のある茅ケ崎から東京の首相官邸に行く予定でした。
筆者の気持ちは
「東京に行って帰ってくる間に容子(奥様)は死んでいるかもしれない、総理なんかと話している場合ではない」
と断じてる。
しかし
すでに意識のない奥様はあらかじめ予定を把握しており、
娘さんに『その時どうしてほしいか』を伝えています。
ちなみに
その二日後に奇跡的に奥様は意識を回復していますが
その時の娘さんとの会話も「この妻あり」と頷かされるものでした。
この本は全体で170ページほどの短い小説ですが
そのうち後書き部分の21ページは娘さんからの寄稿で構成されています。
そこでは大作家城山三郎が駄々っ子のように奥様の死という現実から心の目をそらそうとする様子や
喪失感に苛まれていく様子が描かれます。
そして
物語は筆者自身の死までが描かれますが
やはり最期まで奥様のことを想い続けていたことが読み取れます。
恋愛小説においてただひたすらにリアルを追求したとき
最後に残るのは『ありがとう』なんだなと
そんな気持ちになれる名作だと思います。
「奥様や彼女に感謝の気持ちを伝えよう」と思っていただけましたら↓に一票よろしくお願いします
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小渕恵三総理(当時)
城山三郎著
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この小説は著者が奥さまに先立たれ
出会いから別れまでを振り返っていく私小説です。
荘厳な城山節はあまり感じられず
どちらかと言うと抑えた筆致で描かれる奥様像は
やりたいことをやる夫を陰日向に支える伴侶として
理想の夫婦像ともいえる関係を紡ぎ出しています。
特に最初の出会いでは
奥様の第一印象を『天から妖精が降ってきた感じ』と表現しているが
筆者にとって奥さまは今際の時にあってもやはり妖精だったんだろうなと思わせてくれる。
取材ついでの旅行など
何気ない日常の風景ではあるのだけれども
亡くなったこと
『当たり前にそばにいてくれたことの感謝』を再確認するのだろう。
もちろん
普段から感謝の言葉もかけている
でも、そこにいないという現実におかしくなってしまいそうな自分に
心の均衡を失わないように改めて亡き妻への思いを反芻しているようにも読み取れるほど、
静かな語り口により一層苦しさを共有してしまうのです。
そして
奥様が入院して昏睡状態になっている最中
かねてより引き受けていたテレビの特番の仕事『NHK年末特番【総理と語る】』のために
病院のある茅ケ崎から東京の首相官邸に行く予定でした。
筆者の気持ちは
「東京に行って帰ってくる間に容子(奥様)は死んでいるかもしれない、総理なんかと話している場合ではない」
と断じてる。
しかし
すでに意識のない奥様はあらかじめ予定を把握しており、
娘さんに『その時どうしてほしいか』を伝えています。
ちなみに
その二日後に奇跡的に奥様は意識を回復していますが
その時の娘さんとの会話も「この妻あり」と頷かされるものでした。
この本は全体で170ページほどの短い小説ですが
そのうち後書き部分の21ページは娘さんからの寄稿で構成されています。
そこでは大作家城山三郎が駄々っ子のように奥様の死という現実から心の目をそらそうとする様子や
喪失感に苛まれていく様子が描かれます。
そして
物語は筆者自身の死までが描かれますが
やはり最期まで奥様のことを想い続けていたことが読み取れます。
恋愛小説においてただひたすらにリアルを追求したとき
最後に残るのは『ありがとう』なんだなと
そんな気持ちになれる名作だと思います。
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小渕恵三総理(当時)