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法は命より重いか?

2011年11月02日 | 交通違反
さて
『カルネアデスの板』というお話があります。

これはカルネアデスという哲学者が出した問題で
【遭難したときに一枚の板切れにつかまってなんとか浮かんでいられる状態の時、
もう一人がその板に捕まろうとしてきた。しかし小さい板切れでは二人は捕まっていられない、
そんなときもう一人を見捨てて助かったものは罪に問われるべきか?】
というお話、
ちなみに元々の話では、この助かった男は殺人の罪で裁判にかけられ無罪が言い渡されています。

さて
こういう状況は現代社会でも起こりえます。
誰かを助けるための違法行為は罪に問われるのかというお話、

身近な例では正当防衛というのも似たようなものです
強盗から殺されそうだった
反撃する以外助かる道は無い
結果強盗は打ち所が悪く死んでしまった・・・
もちろん実際には細かい状況を検討しないといけませんが
文字通りで判断するならこの人は罪に問われるべきではないでしょう。

先日も中国で起こった事件で
バスの中で乗客が発作を起こし家族が助けを求めるも医者など同乗していない
救急車を待つ時間も危険と判断した運転士は乗客に「緊急事態なので病院に向かいます」と告げ
病院へ緊急搬送!ところがより近道を通ろうとして短い区間ながら道路を逆走したそうです。
さてこの事件の報道後
世論は運転士の判断を称える声もある一方で
公共交通機関であるバスが逆走するとはいかがなものかという声もあります。
個人的には危険が無いならOKだと思います。

緊急事態を避けるためにやむなくやった行為は違法性を問われないことを【緊急避難】といいます。

日本のスピード違反でも似たような判例がありまして、
状況としては
【助手席の奥さんが体調不良を訴えて嘔吐、顔面蒼白となって意識が混濁、
近くの救急病院の場所を知っていた旦那さんは救急車を呼ぶよりも自分で運転して向かったほうが早いということで
病院まで急行、途中で速度超過で検挙された】という事例です。
裁判でこの方は緊急避難であり処罰には値しないと主張しました。
裁判所の決定は
緊急避難は認められませんでした。つまり有罪判決ということです。
緊急避難が認められるには補充性という条件を満たさなければなりません。
ざっくり言ってしまえば『他に方法が無かった事を証明しなければいけない』ということです。
詳しくはここ↓
【トンでも判例】

・・・外国では速度違反の裁判で、裁判官から飛ばした理由を尋ねられて
「天気が良くて道路も空いてて気分が良かったから」と答え、
裁判官も「確かに気分良かっただろうね、大して危険でもなかったし、無罪」
ちなみに制限速度90キロちょいの道を170キロ以上で走行していたそうだ




まぁ日本においては交通裁判における緊急避難はかなり通りにくいということです。
※認められた判例もたくさんあります。


「後からなんて何とでもいえるよ!自分の奥さんが助手席でそんな状態になって
のんびり救急車待てるようならその愛は偽物だっ
と思っていただけましたら
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