唯識に学ぶ・誓喚の折々の記

私は、私の幸せを求めて、何故苦悩するのでしょうか。私の心の奥深くに潜む明と闇を読み解きたいと思っています。

第二能変  第二・ 二教六理証 その(10) 六理証 その(Ⅰ)

2012-03-13 21:42:13 | 心の構造について

 六理証

  • (第一理証) 不共無明証(独行無明)
  • (第二理証) 六二縁証
  • (第三理証) 意名証
  • (第四理証) 二定差別証
  • (第五理証) 無想有染証
  • (第六理証) 我不成証

 「論。如是等教至故不繁述 述曰。指略説也」理中有三。初結前生後次依標正釋後總結」(大正43・409c) 

 「理の中に三有り。初に前を結して後を生ず。次には標するに依って正しく釈す。後には総じて結す。」(『述記』第五末・十五左)

 (理を以て末那識の存在を証明する。これが大きく三つに分けれて説明される。初めに、前の論説を結んで後の論述をはじめる。次には六理証の一つ一つのテーマに沿って解釈される。そひて六理証をまとめて結ぶのである。)

 「已に聖教を引きつ、当に正理を顕すべし。」(『論』第五・九右)

 (すでに聖教を引いて論証してきた。今まさに正理を顕すのである。)

  論。已引聖教當顯正理 述曰。此結前顯教生後隱教諍理取之」(大正43・409c)

 「述して曰く、此れは前の顕なる教を結んで、後の隠なる教を生じて、理を争って之を取る。」(『述記』第五末・十五左)

 「已引聖教」が前半の二教証を指し、顕なる経を結ぶ部分、後の当顕正理」が六理証を指す。「隠なる経」について正理をあらわす部分になります。六理証は『摂大乗論』によって立てられています。

 次に六理証の一つ一つのテーマに沿って解説されます(依標正釈)。第一理証は不共無明証について述べられます。