生活保護引下げ違憲東京国賠訴訟弁護団(はっさく弁護団)

生活保護基準引下げは憲法25条違反!東京都内の受給者が国等に対し国家賠償等を求めて闘う集団訴訟(@東京地裁)に取り組む

「生活保護引下げ違憲東京国賠訴訟」(はっさく訴訟)の概要

2016年05月04日 | 裁判について
「生活保護引下げ違憲東京国賠訴訟」の概要について説明します。

 厚生労働大臣は、告示により、2013年8月1日、2014年4月1日、2015年4月1日の3回にわたり、生活保護基準のうちの生活費部分に当たる「生活扶助」の額を引下げました。このため、原告ら生活保護受給者は、支給される保護費を減額され、ただでさえ苦しい生活が、さらに苦しくなりました。そこで、2015年6月19日、これらの告示(引下げ)は、憲法25条で保障されている「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」を侵害するものであって、違憲・違法で無効であるとして、これらの保護費減額処分の取消し(被告は各自治体)と、厚生労働大臣の故意・過失による慰謝料=国家賠償(被告は国)を求めて、東京地方裁判所に本訴訟を提起しました(写真は提訴時の記者会見。檀上中央は宇都宮健児・弁護団長)。

 この3回の生活保護基準引下げの特徴は、①生活保護費の中の生活扶助費を3年間で約670億円も削減し、その削減幅は平均6.5%、最大10%にも及ぶという、現行生活保護制度が始まって以来前例を見ない大幅引下げである点、②我が国の生活保護受給者数は約216万人(平成25年7月時点速報値)であるところ、今回の生活保護基準引下げにより、生活保護世帯の96%、200万人以上が生活扶助支給額を減額され、生活を圧迫されることとなる点にあります。

 訴状では、「健康で文化的な最低限度の生活」を営む権利の内容が生活保護法によって具体化されてきたこと、今回の引き下げの経緯、厚生労働大臣による生活保護基準引下げによって原告らの生活状況が悪化したことに触れたのち、厚生労働大臣による本件基準引下げの違憲・違法を詳しく主張しています。
 まず、生活保護制度に対する国の重い責任からみて、基準引下げの違法性判断は厳格に行わなければならないはずです。その上で、①引下げの各告示の結果、保護費が「健康で文化的な最低限度の生活」を下回るものとなっていること、②生活保護法56条の手続きに違反していること、③憲法25条に由来する「制度後退禁止原則」に違反していること、④引下げの目的がもっぱら「生活保護バッシング」による政治的効果を狙ったものであって合理性がないこと、⑤引下げの判断過程に誤りがあること(より具体的には、厚労省は「物価が下がった」と主張して引き下げたのですが、その計算は恣意的で、実際の物価動向よりも下落が誇張されている=実際の物価はそれほど下がっていない=こと、審議会の基準部会の検証結果をねじまげて複数世帯で大幅な引下げに踏み切ったこと等)の5点を挙げ、厚生労働大臣による保護費引下げの告示は違憲・違法である、としています。
 国に対する慰謝料は、1回の引下げにつき1人5000円を請求しています。
 被告らは、答弁書で、真っ向から争う姿勢を示しています。

 今回の第1回期日は、2013年8月1日(1回目)と2014年4月1日(2回目)の引下げについての訴訟(1次訴訟)の審理を行います。1次訴訟の原告は現在32人です。いずれも、東京都内で生活保護を受給している方々です。
 2015年4月1日の3回目の引下げについての訴訟(2次訴訟)も2016年2月に提訴しており、後日、1次訴訟に合流して審理が進められることになります。2次訴訟の原告は34人です。

 訴訟の原告団がすでに結成されています。原告団の構成をみると、40代前後の原告が多く、何らかの障害を負っている方も多いのが特徴です。原告らは、生活保護バッシングのため、名前を公表できないという不自由さを抱えながら、法廷での闘いに臨んでいます。このため、訴訟では、原則として、原告名は氏名によらず、「原告番号」で呼ぶことになっています。

 原告団では、単に訴訟を進めるだけではなく、裁判での活動を通じて、生活保護の切捨てが行われないよう、バッシング前の通常の状態に戻すよう、原告団・弁護団・支える会が一体となった運動を通じて、広く社会に訴え、生活困窮者を守る政策への転換を働きかけていきたいと考えています。

 ご支援をよろしくお願い申し上げます。
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