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悦山人の“モノ”がたり

人間として生まれてきた限りにおいて、その目的、意味、価値、そして生死去来、これらと向かい合う悦山人の小説を紹介します

キャンチレバーの想い

2023-11-19 | 日記

 

 

 

 

キャンチレバーの想い-01

 

 

<自戒>

はかない世の中に生きてみて

どうしようもない苦しみと切なさが募ってきたのです

誰の責任でもありません

わがままの来し方行く末で

そういう結果になってしまったのです

でも、いくら考えてみても仕方ありません

欣求浄土と厭離穢土の意味を教えられたものの

納得できずに今に至っていたのです

それも定めのひとつでして

ただひたすら、これからの暮らしだけを見つめていたのです

でも、何も訪れません

聞こえてくるものは寒々とした闇の音で

これでお終いかと覚悟を決めて

闇の奥のかすかな光を探して追い求めたのです

でも、何も解決しません

そそくさと歩き始めたときにようやくわかってきたのです

希望というものが絶望に変わった瞬間でして

何処へ行くあてもなく死後の那辺が感じられて

思わず身投げをしたのです

幸せすぎる一生でしたね

 

 

 

 

キャンチレバーの想い-02

 

 

<自滅>

そんなことはないだろう

やってみたけどもうまくいかなかったのさ

なぜって、ここにどうしいるのかさえふしぎなんだ

もうちょっと、おちつけ

そろそろ、やりたいものがみえてくるぞ

だが、あれあれってかんじになったのもじじつで

おろおろしてしまったんだ

ぶざまなすがたでたたずんでいたのさ

このさき、なにもみえなくなったぞ

もっとがんばれ、おまえのみちじゃないか

おまえのじんせいだろう

だが、こちらにやってくるものはヨレヨレ・ボロボロばかりさ

それでかんがえてみたんだ

そうしたら、がむしゃらにうごかず

なるようになってなるようにまつことにしたのさ

まるでふっくらとしたきもちになったぞ

だが、さきがながくなかったんだ

しのよかんじゃないか

これもおまえのうんめいで

つまり、おさきまっくらでしたね

 

 

 

 

キャンチレバーの想い-03

 

 

<自我>

山を歩き回って土を探した

探しても、探しても、ふさわしい土が見つからなかった

そうやく滝のわきにある地層で安堵した

その土はやや鉄分を含んでいた

土にはまろやかな粘りが必要だった

一番が土、二番が窯、三番が細工とした

次に穴窯をつくることにした

その穴窯は山のゆるやかな斜面を利用して掘った

炭焼きの窯の工夫と原理を応用した

掘れば、掘るほど、山肌の岩が出てきて苦労の連続だった

それから、ロクロをつくらなければならなかった

素朴さを表現するために蹴ロクロとした

蹴ロクロの軸はまっすぐな竹にして平台に板塀を使った

そして土を練りながら、あることを構想した

何度も挑戦した

やっとのことで形になってきた

ちょうどいい風合いと大きさだった

穴窯から焼けたものを出してみるといい具合だった

それを我が入るための骨壺にした

これで完成しましたね

 

 

(了)

 

 


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