奥菜恵(27)が引退を表明した。
奥菜恵といえば、僕らよりちょっとあと世代のスーパー美少女であった。僕らの世代だと、相田翔子とか、ゴクミこと後藤久美子とか、宮沢りえとか、裕木奈江とか、持田真樹とかいたかな。。。奥菜恵も、彼女たちと同様、清純派美少女として、かなりの人気を博した。また、僕の大好きなロックバンドのギタリストとの交際もあり、結構身近なタレントさんであった。
女性のタレントは、もろに【時分の花】の力で生きているように思う。というか、【時分の花】でしか見られていないというか。これはアイドルへの批判ではなく、【時分の花】としてしか生きられない女性アイドルの扱いへの疑問である。男性アイドル以上に、その世界で生き残るのが困難であるように思うのだ。男性アイドルももちろん強烈な下克上の上に立っているが、それ以上に女性アイドルは様々なプレッシャーや外圧にさらされているのではないか。それは以下の記事からも読み取れる。
奥菜は周囲に「業界に疲れた」と漏らしており、所属事務所も今月いっぱいで事務所を辞めることを認めた。清純派女優としてデビューした奥菜だが、最近ではスキャンダル報道が先行。女優業は先細り状態だった。…この日発売の週刊朝日の表紙を飾っている奥菜だが、仕事の方は先細り状態。イメージが重視されるCMは1本もなく、レギュラー番組もゼロ。昨年末公開の映画「犬神家の一族」に出演したのが目立つ程度だった。舞台でも声量不足で女優としての限界を見せていた・・・(引用元)
かつて世間を賑わせた超ビッグ美少女も、時の流れの中で、とまどい、苦しみ、そして芸能界から去っていく。そんな無常感を感じさせる。綾小路きみまろじゃないけど、美しい女性もやがては「おばさん」になる。男性から注目されなくなる。ポイントは、男性はそうでないということだ。「ダンディーなおじさん」は若い女性からモテる。キムタクだって未だにスーパーアイドルとして輝いている。B'zの稲葉さんもやはり同じく。ラルクのハイドだってもう「おじさん」の領域にいなくもない。しかし、女性はそうもいかない。もちろん「おばさん」になってもブラウン管に登場する元アイドルもいる。でも、「元」なのだ。しかも、「美」を捨てて、「笑い」や「知性」に頼らなければ生き残っていけない。単純に、アイドルとして生き続けることは絶望的に困難なのだ。
この男性と女性のあいだにあるズレはどこから生じるのか。なぜ女性は「現役アイドル」、「現役ヒロイン」として生き残るのがこれほどまでに困難なのか。色々な理由があると思うが、奥菜の「疲れた」という言葉は非常に説得力がある。きっと、「その先にあるもの」が見えなかったのだろう。「このままどうしていく?」という問いもあったのではないか。一度人気を落としたアイドルが再びもとの状態に戻ることは、きっと何よりも難しいことなのだろう。もちろん業界の中でなんとか食いついて生き延びていく方法もあるだろう。だが、いつ、どんなときでも輝きを放つことのできる【誠の花】への道は想像以上に厳しいものがあるのだろう。
でも、彼女にとって、彼女の人生は終わりではない。これからが人生本番の始まりだと言っても過言ではないだろう。「キラメキ」の世界はまぶしくて、誰もが憧れるものであろう。僕だって憧れていた。でも、その輝きはやがては消えうせてしまうわけで。その先に行ってはじめて、自分はどうやって生きていくのか、ということを真剣に問うようになるのだ。僕個人は、奥菜さんのファンではないし、彼女の存在が僕に響いたこともない。けれど、今回の「疲れた」という言葉には何か大きなものを感じずにはいられなかった。
本人がこのブログを読むことは絶対にないと思うけど、奥菜さんの新しい旅立ちを密かに応援したいなぁと思う。自分にしかできないこと、自分でなければできないことはきっとあるはず。一万人を感動させることも、一人の人を感動させるのも、その喜びはきっとそんなに違わないと思う。芸能人としての生命は終わっても、一人の人間としての生命はまだまだ続く。ホント、応援してます!