散歩絵 : spazierbilder

記憶箱の中身

夢遊: 線

2006-03-06 11:36:00 | 夢遊


私はその部屋の入り口で思わず立ち止まってしまった。

なぜなら、それはまるで海のようだったから。比較的天井の高い部屋の半分ほどまで、青や黒や白のペンで描かれた線や文字や細かい模様で埋まっている。
それは丁度私の目線に当たる高さまで描かれていたので、私は思わず息を大きく吸い込んで止め部屋の中に入った。おぼれてしまうのでは無いかと恐れたからだ。

部屋の主は子供の頃から、自分の目線を文字や絵や模様で埋めながら部屋の中を歩き回ったのだ。
良く見れば海のような部分は線の積み重なりになっていて、時にはうねり、飛びはねながら壁の白を埋めている。
彼の成長とともに線が螺旋状に部屋を埋められて行くのだ。
部屋のなかの線を辿りながらグルグルとまわっていると私はくらくらとし、息が出来なくなった。
海で溺れる人のようにもがきながら、水平線を掴もうと手をのばしながら辿って行くと、海の中に一つ白い島が見えた。
あの白い島は誰?
と聞くとただ首を振っている。
(質問は“何故?”“何?”では無く“誰?”なのだ。)
言いたくないのか言えないのかわからない。彼自身にもわからないのかもしれない。
白い島は青い海色の中でひときわ輝いている。
青い海のなかに潜ると色々な物が生存している。名のある見覚えのあるものから、名の無い見たこともないもの。繊細に儚げな形から力強くふてぶてしい形。糸を紡ぐようにそして丹念に細い細い線で描かれた形や言葉が縒り合わさっている。
                       
                              ◎  ◎  ◎

糸を紡ぐように毎日が続いてゆく。
どこかで引っかかったり、切れそうになったり、絡まったり、染まったりして休むことなく紡がれている。

そんなことを思っていたので、この夢を見たのか、この夢を見たからそんな事を思ったのか、まあ、どっちでも良いようなことなんだけど、面に近い線の集積は美しかった。
または、先日飽きるほど撮った木立の写真から生まれた夢かもしれない。
でも一部屋にそんな絵を書いて見たいなあ。。。と言うよりもう一度そんな部屋に入って見たい。

私の紡ぐ糸の一つにこのブログが加わって一年たった。
“去年の今日”初めの一歩を記している。早いものだ。

読んでくださる方々、コメントで常に私に刺激を下さる方々に心より感謝します。


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22 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
 (Tak)
2006-03-06 21:40:20
blog開設一周年おめでとうございます。



毎日毎日一本ずつ線を引いていくうちに

やがて形あるものになっていきますね。



彫刻家の加守田章二は

「奇想天外な破天荒な生活の帰結として、豊かなイメージ性が生じるのではなく

着実で単純な生活の積み重ね。これこそがイメージの源泉である。」

と言っていました。



慌しく一見変り映えのしない毎日ですが

「単純な生活」が送れるのって幸せですよね。
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日々の積み重ね (alice-room)
2006-03-07 01:04:58
知らず知らずに溜まっていく記憶と思い。あとになると貴重な宝物になるかも?

その時の一瞬一瞬が、閉じ込められたタイムカプセル。そんなブログになると素敵ですね♪

seedsbookさんらしいブログをこれからも紡いでいって下さいね。1年間お疲れ様。そして新たな1年間も宜しくです(笑顔)。
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TAK さんへ (seedsbook)
2006-03-07 01:34:42
改めまして(笑)コメント有難うございます。

>一見かわり映えのしない毎日。。。



でもそれは”一見”なんので、小さなことであろうとも、何か昨日と違う事が必ずあるのです。繰り返しは2度とありませんものね。

線を引いている限り、後が楽しみってわけです。

これからもどうぞよろしくお願いします。

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alice-roomさんへ (seedsbook)
2006-03-07 01:40:12
コメント有難うございます。

alice-roomさんには、もう長い事オンラインの遊び場でお世話になっていますね!(笑)

そろそろ、一段落で引っ込もうかななどとも考えたのですが、もう少し続ける事にしました。(笑)

仰るとおりタイムカプセルのようなものにしたいものです。

どうぞこれからもよろしくお願いします。
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紡がれるもの (lapis)
2006-03-07 01:50:04
一周年おめでとうございます。

seedsbookさんが紡がれる言の葉、いつも楽しませていただいています。

この夢の記事のように、seedsbookさんにしか紡ぐことが出来ない独特の世界は、とても魅力的です。さゆりんさんのブログで、一年くらいと思ってはじめたと仰っていましたが、出来るだけ長く続けていただきたいものだと思います。

貴ブログのさらなる発展をお祈り申し上げます。
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Lapis さんへ (seedsbook)
2006-03-07 02:43:32
一周年なので改まりまして、コメント有難うございます。

Lapisさんにも随分遊んでいただきました。(笑)

勝手に自分の記録や何かを綴るだけでいいんだ、と思いながらもはじめて見ると、ひょっとしてまだ読んでくれる人がいるかも知れないなんて欲も出たりして苦笑ですが、それは兎も角、心機一転、あれやこれや書いたり読んだり、もうすこし続ける予定ですので、今後ともよろしくお願いいたします。

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また一年 (Lady E)
2006-03-07 03:04:40
seedsbookさん



お話がたくさん詰まっている絵(写真?)ですね。ここから読み取るものは、人によって色々なのでしょうね。



こんなにファンがいて、わたしも楽しみに読ませていただいているんだし、引退なんて考えずに、ずっと続けてくださいね!また季節がめぐってきますね。
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Lady Ellington さんへ (seedsbook)
2006-03-07 04:36:29
コメント有難うございます。一周期祝いなので、先ずは来てくださったお礼から。

一年なんて全く早いものですね。

恐いくらいです。

早く春にならないかなあ、何て言っているうちに又すぐに。。。。これからもよろしくお願いします。
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 (がんちゃん)
2006-03-07 07:11:06
一周年おめでとうございます。

続けるという作業は思いのほか困難で。

糸が紡がれた時、紡がれる時に少しでも

触れられたことをうれしく思っています。

写真の中に、ハロウィンのかぼちゃ大王が

見えてしまって・・・(笑)

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おめでとうございます! (ブノワ。)
2006-03-07 08:21:32
seedsbookさんへ。

おはようございます。

ブログ開設一周年おめでとうございます。

どんな一年でしたか?僕は途中からですが、

seedsbookさんとこうして知りあえてラッキーだったと思っています。

思えば、PCを避けて避けて生きて来た人間が、

自分でもブログを始め、海外の方と親交を深めている事に驚きます。

こちらこそ色々と刺激されています。

これからも宜しくお願い致しますね!
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