散歩絵 : spazierbilder

記憶箱の中身

留守番電話は嫌いだ。

2005-07-15 00:47:26 | 思考錯誤
夕方帰宅すると電話機に赤いランプが点ってピカピカと注意を促している。
面倒だなあ、と聴かずにいるとその傍をとおり過ぎるたびにシグナルは早くなるようだ。
思い切って消してしまうような勇気はないし、困った電話がある可能性を考えて見るが、そんな事も今の所無いのでメッセージを聴く。
“え~~~っと、へへ、えっLだけど。いないのかな?う~~ん。。。こちらはLとBだけど、忙しいのかなあ今日そっちの方に行くかも知れないんで寄ろうかなあって思ったんだけど夕方で。。旅行してるの。。居ないのかなあ都合悪い。。今夜襲うみたいな話だけどもし午後にでもこのメッセージ聞いたら、えっと電話してくれる?そうしたら嬉しい“ブツッ。。。。。と4時間前のLは電話に向かってしどろもどろ喋っていた。聞き終わってすかさず電話をするとLは“いやあ~留守電に喋るのって苦手でね~、Bがかけたんだけどアッ留守電って、僕にいきなり渡すんだからさ。”という。

LとBは友達をよんでバーベキューをすることになっていたが、相手の具合が悪くなって、中止になった。朝からLは張り切ってイカのライス詰めや、マスカットやチーズを詰めた鶏肉などを仕込んでいたので、さてこれをどうしたものかとイカを鳥腿を両手に呆然としていると、こちらの顔が浮かんできたらしい。そういう浮かび方はいい。大歓迎だ。これからもどんどん浮かんで欲しいものだ。
私はとりあえずビール数本買って来て冷蔵庫に突っ込む。鴨が葱背負って。。。ではなくて美味しいものかついでやって来たのはミュージシャンのLと、繊細な作品を紡ぐアーティストのBだ。(Lは夏場はツアーやコンサートがないらしい。かの有名な「Sunny」を書いたBobby Heppとも仕事をしている。)
気候の所為かいつも深としている木曜日の夜だが、夜中になっても談笑する声が八方から聞こえてくる。楽しく美味しく日は暮れた。お開きとなり片付けものをしながらウロウロしていると、また電話は赤いピカピカシグナルを出している。あれっ?さっきメッセージ聴いたのに何でまだ光っているのだろう?と見ると電話をくれた人が居たようだった。時々我が家の電話はいきなり留守電に切り替わる事がある。楽しいひと時を邪魔しないように気を利かせてくれたわけではない。何故そういう事が起こるのか不明である。メッセージは残っていなかった。誰なんだ?

時々あるのだが、いきなり大声で歌ってくれたり、習いたてのフルートで覚えた曲が調子っぱずれで入っているというのは聴く方はなかなか複雑な気分で、相手の意気込みに打たれて私は受話器を持って直立不動で拝聴することになる。
反対にこちらが録音するとき、緊張のあまり相手の名前を言うところを自分の名前を入れてしまったこともあり、後で散々からかわれたのは言うまでもない。それがしっかり相手の電話機に収納されて場合によっては何度も再生される事を考えると嫌になる。
アッ留守電だと思った途端、エッ~っと、うううんと、が数分間に乱用されて、これじゃ何を言ってるのかわからないなと思いながらも、吹き込まれてしまったとっ散らかった言葉はもうこちらから追っかけて行って消すわけには行かない。

ひゅるひゅるっと巻き戻しができるといい。

留守番電話は嫌いだ。