医者から詳しく聞かされない医療情報:セカンドオピニオン

誤解と批判を恐れない斜め後ろから見た医療情報

昨年の検索用語ランキング

2010年01月03日 | 総合
明けましておめでとうございます。
ところで、このブログは定期的にトップページをご覧いただく方以外にも、YahooやGoogleなどに検索用語を入力し偶然たどりつき見てくださる場合が半分あります。そこで、今回は昨年1年間にどんな用語でこのブログが検索されたことが多かったのかを調べてみました。

第3位は、「歯科医 年収」、および「歯医者 年収」でした。

歯科医の5分の2が年収900万円以下
意外にも医療情報と異なるところで検索されていたようです。

私は「歯科医 年収」って、誰が何の理由で調べているのだろうと不思議に感じます。これから歯科医を目指している高校生や、歯学部に入学した大学生、他の歯科医の収入が気になる歯科医ならわかりますが、全てがそうだと思えないのです。

ここで私は、「相対性」という言葉を思い出しました。例えば、私たちは1万円の万年筆が30分先の店で7千円で売られていると、その店まで30分かけて行きますが、10万円のスーツが30分先の店で9万7千円で売られていてもその店までは行きません。個人にとって30分で3,000円という価値は同じであるにもかかわらず、人は相対的に状況を判断してしまいます。10万円余分に支払って愛車のシートを革張りにすることはできても、10万円で自宅に革張りのソファーを買うことには躊躇してしまう場合も同じです。これが「相対性」という人間の習性です。

「もっとも幸福な人々」が住んでいるのは個人所得が最も高い国ではないことは、これまでの研究で繰り返し証明されていますし、給料の多さと幸福感との間には、私たちが思っているほど強い関連がない(むしろ弱い)こともわかっています。それなのに、他人の年収を積極的に検索して、それが高かった場合に落胆するのは、自分で自分の首をしめてしまうことにならないでしょうか。

幸いなことに、私たちは自分を囲む「円」の大きさを自分で調節できます。小さい円が集まっているほうに移動すれば、相対的な幸福感は大きくなります。同窓会に出席したとき、真ん中で飲み物を手にして高給を自慢している「大きい円」がいたら、あえてそこから離れて、だれかほかの人と話すのです。人は持てば持つほどさらに欲しくなります。重要なのは「相対性」の連鎖を断ち切ることなのです。

さて、第2位は、新型インフルエンザが流行した影響を受け「インフルエンザワクチン 副作用」でした。
インフルエンザワクチンの副作用による死亡率

個々の局面では正しいことであっても、全体としては悪い結果を生むことを「合成の誤謬」といいましたね。この事象は「合成の誤謬」の反対といえます。

そして、第1位は、「タミフル 異常行動」でした。
結局、タミフルと異常行動の間には関連性は認められませんでした。
タミフル:異常行動との因果関係

<タミフル>異常行動との因果関係なし 厚労省研究班

こんな記事も書きました。
新型インフルエンザ、診断確定前でも治療薬、厚労省通知


タミフルを販売する会社からの費用で「タミフルと異常行動の間には関連性は認められなかった」と研究結果を発表した教授の言うことは信用できないと決めつけて批判したマスゴミや国民を批判してこんな記事も書きました。
日本人って、批判的?感情的?

「ゆとり教育」しかり(この責任はいまだに誰もとっていません)、間違っていた過去を振り返って反省し対策を練り直すことは、日本の将来を良くするために欠かすことができません。

ここで最新の医療情報です。
昨年11月に開催された日本薬剤疫学会で発表されました。
対象は、日本医療データセンターが保有する7健康組合のレセプトデータベースから、2003~2004年、2007~2008年の各12~3月にインフルエンザの傷病名で診療を開始した全例です。

インフルエンザ診療開始日の3日以内に外傷の傷病名が同一または他の医療機関で診療科医師されたものが抽出されました。タミフル投与率のバイアスを除去するためにプロペンシティ・スコア法(プロペンシティ・スコア法とは、最初にある治療が選択される確率を『プロペンシティ・スコア』として計算し、次にこのスコアによりマッチングさせて比較する手法です)が用いられました。

インフルエンザの診療を開始した患者数は延べ14万800人で、このうち36.6%にタミフルが投与されていました。タミフル投与群での外傷発生率は4.7人/1万人と、投与されていない群の8.2人/1万人より統計学的に有意に低かったそうです。

研究者らは「タミフルを投与されていなくても、投与された群以上に外傷が発生しており、そのリスクはむしろ高い。新型インフルエンザなどで基礎疾患のある高リスク患者には10代であってもタミフルの投与を躊躇すべきではない。またタミフルを投与しなければ異常行動による外傷に関して安全と考えてはならない。異常行動による外傷に対する監視は、投与とは無関係にすべてのインフルエンザ患者に行うべきだ」と結論づけています。

やはりここでもタミフルと異常行動の間には関連性は認められませんでしたね。


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