医者から詳しく聞かされない医療情報:セカンドオピニオン

誤解と批判を恐れない斜め後ろから見た医療情報

被ばく量について

2011年03月15日 | 
慢性被ばくでガンの発症が減る(その1)

慢性被ばくでガンの発症が減る(その2)

上の図は、下の論文からの引用で、1回のCT検査で負うガンのリスクです。年齢・性別で異なります。実線が女性、点線が男性です。
JAMA. 2007;298:317.
(インパクトファクター★★★★★、研究対象人数★★★★★)

被ばく量を理解するためには、「量(強さ)」の概念と「時間」の概念を理解する必要があります。

基本中の基本として、私たちは日常生活でも宇宙から宇宙線を浴びて1年間で2.4ミリ・シーベルト(地球平均)の被ばくをしていますが、これは「1年間」で「2.4ミリ・シーベルト」という意味です。

東京~NY間を飛行機で1回往復すると0.2ミリ・シーベルトといわれています。これでは時間の概念が省略されていますが、それはすなわち飛行時間、東京~NY間でしたら「12~13時間」に0.2ミリ・シーベルト被ばくするという意味です。時間の概念は非常に重要です。

1年間で東京~NY間往復を10回すると0.2ミリ・シーベルトx10=2ミリ・シーベルトの被ばく、そこに日常生活での宇宙からの2.4ミリ・シーベルトが加わるので、合計年間4.4ミリ・シーベルト、というような計算ができることがまず必要です。

1回の胸部CTスキャンで浴びる量は6.9ミリ・シーベルトと報道されていますが、最近のCT検査では詳しいことまでわかろうと努力して施行されますので、1回のCT検査で10~15ミリ・シーベルトの被ばくと考えた方が妥当です。ただし、ここでも時間の概念が省略されています。1回のCT検査に1分かかるとすれば、それは「1分間」で「10~15ミリ・シーベルト」ということです。現実にはありえませんが、CT検査を1時間受けると、10~15ミリ・シーベルトx60=600~900ミリ・シーベルトの被ばくを受けます。

さて、「福島第1原発3号機正門で400ミリ・シーベルト、4号機で100ミリ・シーベルトの放射線が測定された」と報道されましたが、「えっ?何時間の間に?」という疑問がうまれれば、ここまでの説明が理解できたということです。マスゴミの報道には、この「時間」の概念がないものがありますので、注意が必要です。

別の報道では「1時間あたり、400ミリ・シーベルト」と言っていましたので、これが真実かどうかは別として、さきほどのCT検査と比較します。仮にCT検査を1時間受けると、600~900ミリ・シーベルトの被ばくを受けますので、「1時間あたり、400ミリ・シーベルト」というのは、単位時間あたりの被ばく量はCT検査と比較して強さ自体は半分と計算できます。

しかし実際は、福島第1原発3号機正門に1分だけいてあとは全く被ばくを受けないというCT検査のような状況ではないので、福島第1原発3号機の正門に防護服なしで30分でもいることは危険なことです。

上の図は、1回(1分ぐらい)の胸部CT検査(10~15ミリ・シーベルト)で被ばくをうけると、約1000分の1の確率で被ばくによる乳ガン、肺ガンのリスクを背負うということを以前お伝えしたものです。ただし、CT検査では曝露する範囲が限定されているので、ある臓器の平均吸収線量=全体平均吸収線量とみなすと被ばく量によるリスクを過大評価してしまいます。

その他、医学的には
100ミリ・シーベルトでガンになる確率が増加し始める。
(日本人男性は一生涯で半分がガンに罹患しますので、50%が51%とか52%に上昇してくるという意味です)
500ミリ・シーベルトで、末梢血中のリンパ球が減少、嘔吐、脱毛
3000~5000ミリ・シーベルトで60日以内に半数の人が死亡するといわれています。


なお、マイクロ・シーベルトはミリ・シーベルトの1000分の1の単位ですので混同しないように注意が必要です。


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コメント (2)
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