ガーベラ・ダイアリー

日々の発見&読書記録を気ままにつづっていきます!
本の内容は基本的にネタバレです。気をつけてお読みください。

荻原規子著 「樹上のゆりかご」 理論社

2007-09-15 | こんな本読みました

著者は、自分の出身高校の先輩だった……と言われたら、即座にそうだろうなあと納得してしまうだろう。厳密にいえば、「著者」ではなく本書の主人公「上田ひろみ」なのだけれどー。それほど似ている。似すぎている。まあ、ありがちといえばありがちなのだろうけれどもー。

元男子校。昔は旧制中学。女子の人数はクラスの三分の一。生徒の自主性を重んじる。制服ではなく私服。行事(合唱祭、文化祭など)にもえる。学区内での大学進学率が高い。本校出身の教師が多い。。。

まあ、本書の舞台は都内(都市部)であり男子クラスが学年の半分ある、など細かい点を比べてみれば相違はあるけれども。

そんな公立高校(辰川高校)の中での高校生の日常の話。ありきたりといえばありきたり。恋ごころあり、事件あり、文化祭あり、友情あり。それを後半からはサスペンスタッチで描いていく。

生徒会長の鳴海智章。副会長の加藤クン。生徒会執行部員中村夢乃とその友人上田ひろみ。実直な近藤夏郎。そして女の部分を意識している近衛有理。彼らが中心となって話が展開していく。

………しかし。私にとっては、大きな発見のある本だった。

<「彼らは何かを必死に守っているの。辰川高校は、全体で何ものかを守っている……それに加担している点では、男子女子の区別はないものだけど、ときに女子ははじかれるわけなのよ」(中略)「守る……というのはピンとこないな。暗黙の了解がある……というなら、少し思い当たる」「暗黙の了解?」>

<「女子がはじかれているって……?」「守りの態勢というのは、本来臆病なものなのよ」>

<……(「名前のない顔のないもの」が女子を排除するって、そんなふうに言っていた。あれは正確にはどういう意味だろう。わかっていないのに、私がなんとなくそれを知っている気がするのは、どうしてだろう……)
有理さんがそれを語るに至った、彼女のいきさつを私はまだ知らない。でも、この私が自分の何かを重ねて共通する部分があったとすれば、男子クラスや執行部室に感じる気おくれー何か理解できないものがあると感じる、あの体験だった。
ただ、私は、正直言って「女子」とはいったい何かをきちんと把握していない。この学校へ来て、あまりに女の子として扱われるので、まだとまどっているくらい、内面では女子ということをつかんでいないと思う。有理さんは、排除される何をもって女子だというのだろう。
(……こういうことがわからないから、加藤クンとのおつきあいにも積極的になれないのかな……)>

早熟で賢い近衛有理との会話から、この学校内での女子というもののポジションをとらえようとする上田ひろみ。本について語り合いながら徐々に親しくなっていく。「サロメ」の作品分析についての会話が興味深い。

一見、ボーイッシュで男子とも対等にわたりあえる中村夢乃。鳴海智章に好意を抱く。じぶんのなかの女性の部分に気づいている。そしてそれは、近衛有理と恋敵を意味する。しかし一貫して女である有理にはかなわないと思う。

その両者とも近しい立場にいる上田ひろみ。彼女の目から見た「女子」というもの。それを描いている作品だととらえることができた(少々、自分に引き寄せすぎか?汗)。外見からくる異性への妄想などについても考えさせられた。

そして、私が高校時代に個人的に抱いていた漠然とした違和感。
「中学時代輝いていた先輩(女子)が、高校ではスカートにサンダル姿か…」となぜか失望してしまったこと。自分のために時間を使えるって楽だなー(なんて単純な発想!)をしていた自分に対する答えが得られたように思った。そして、女子校出身者と共学校出身者の立ち居振る舞いの微妙な相違点(例えばリーダーシップのとり方など)というのも、どういう立場に身を置いて過ごしたのかたのか…というのが関係してくるのだと思った。

……まあ、こんな自分でも多少は男子の声にちくりとくるものはあったのだが。

自分が高校生のころ「女子」が、学内で自分たちの立場をどう感じていたのか。どう男子は見、扱っていたのか。数少ない友人のひとりY子の意見を聞いてみたくなった。同級生の○くんにも(笑)。そういえば彼女も早熟だったなあ……(汗)。

…あ。女子校出身者の人にも(笑)。

<弱者を庇護することができるのが強者で、だからこそ支配もできるという構図があるとしたら、騎士と姫君の関係は、どちらが強者でどちらが弱者なんだろう」>

……なんてことをつらつら考えるのもおもしろいかも(笑)。

んー。。。なんか自分でもわけわからん文章になった(ゆるせ!笑)

*< >部分は、本書より引用しました。


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2 コメント

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毎度ですが… (つな)
2007-09-16 22:23:48
またまたトラバさせていただきました♪
ふふふ、ガーベラさんは、そういう高校時代を送られたのですね。
なんか「思春期!!」というお話だったから、自分のその頃を思い出してしまう本でしたよね。
「これは王国の鍵」もつながっているようですが、そういえば、まだ読んでないなぁ。
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あああーーー(汗) (ガーベラ)
2007-09-16 22:39:29
>つなちゃん
コメント&トラバやられたー。今回はお礼はいいません(笑)。
……なぜって自分のことを話すのがすごくニガテなので、この記事書いたあとも悶々としていて(笑)、やっぱり「保留にしておこう!」「でも…」と葛藤していたところなのでした。
あー。これで後戻りできなくなったー(笑)。

んー。でもおかしいなあ。つなちゃんとこでこの本、検索したんだけどなあー。よしっ、これからそちらに行きます♪
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