ガーベラ・ダイアリー

日々の発見&読書記録を気ままにつづっていきます!
本の内容は基本的にネタバレです。気をつけてお読みください。

香山 リカ著 「働く女の胸のウチ」 大和書房

2007-11-27 | こんな本読みました

本書は2005年10月に出版されたものであるが、内容は「北海道新聞」(2003年6月から2005年6月12日)に著者が執筆されたコラムをもとに編集されたものである。

精神科医である著者の、臨床現場から感じとった女性のつぶやき、悩みなどについて思うところが記されている。かたくるしくなく、さらりと読める。現代の女性の生きかたについて著者の感じたままが綴られているので、そこに<答え>はない。問題提議、疑問などの形で残されている。
…なので、一緒に<女性の生きかたについて考えて生きましょう>というように私には感じられる著書だった。

参考までにもくじを。。。
1.働く女、目下のなやみ
2.実力と外見、求められてもねぇ
3.恋愛も、結婚も!
4.働くお母さんのリアル
5.働く男の胸のウチ
6.もっと変わらなきゃ

おそらく自分もこんな悩みにとらわれるだろうなあ。。。ということが随所に記されており、少しだけ気が軽くなった。

<先が見えないのが、人生。それならば、大切なのは万全の準備をして臨むことではなく、何かあったときには気軽に計画を変更できる柔軟性だ。もちろんその柔軟性は、個人にだけではなく、社会全体に求められているものではあるけれど。>(「思いどおりにならなくて当然」より)

<まじめな女性ほど、「疲れているのは私が悪いから」と思いこみ、疲労を周囲に見せずにいっそう努力する傾向がある。しかも、「男性たちはがんばっているんだから」とほかの人と自分を比較するので、ますます弱音を吐きづらくなる。>(「男性の目を意識しすぎて」より)

<何百万円もの金や莫大な時間をかけて「なりたい自分」になるもよし、「今の自分」のまま、旅行をしたり趣味のサークルに入ったり、日々を楽しむもよし。自分の意思でどちらでも選べ、その結果をだれからも責められない。それが真の自由ということだと思うが、女性たちの多くは、いまだ「こうしなきゃ」と、”見えない何か”からのプレッシャーに縛られているようだ。>(「なりたい自分」追求もほどほどに」より)

また、巻末には<働く女の読書案内>と称して何冊かの本が紹介されている。
参考までに書名と著者名と香山氏によるひとことを記しておく。
『働きマン』(安野 モヨコ著)ー読んで自問自答するマンガ
『対岸の彼女』(角田 光代著)ー立場のちがう女性ふたり
『負け犬の遠吠え』(酒井 順子著)ー話題の”負け犬”を読みました
『宇田川心中』(小林 恭二著)ー自分らしさの表現に心中?
『残花亭日暦』(田辺 聖子著)ー働く「女はつらいよ」
『愛がなんだ』(角田 光代著)ー働く女の共感を呼ぶ一冊
『何があっても大丈夫』(櫻井 よしこ著)ー働く女に「優雅」は必要?

以上紹介されている本のうち何冊か読んだことがあるのだが、個人的には『何があっても大丈夫』がおすすめ。その理由は櫻井氏を育てた「母親」に視点をあててのことだけれどもー。

< >は本文より引用しました。