ガーベラ・ダイアリー

日々の発見&読書記録を気ままにつづっていきます!
本の内容は基本的にネタバレです。気をつけてお読みください。

山田詠美著 「放課後の音符」 新潮社

2005-11-04 | こんな本読みました
装丁がみるからに「乙女チック」。花柄の装画に薄紙がほどこされ、持った感じも繊細で柔らかい。それもそのはず、雑誌「オリーブ」に連載されたものを単行本化したものだからだ(借りた時は知らなかった)。「オリーブ」の対象年齢って?中・高校生ぐらいだろうか。つまらなかったらやめようと思って読み始めた。

題材は確かに、わたしのドキドキするようなものではない(当然ながら)。しかし、彼女の描く主人公には好感をもった。「かっこいい」のだ。群れることを良しとせず、「男」とつきあう女子高生。8篇に登場する主人公のどの子も潔い。「恋に憧れる」子から見た、「ちょっとませた子」や「先輩」「同級生」の内面や男性とのつきあいを語っていく。その手法はとてもうまいと思った。

「Sweet Basil」では、「幼馴染」を男性として意識し始めた女の子が登場する。その男の子に対する、他の女の子の視線。それを敏感に感じとる少女。自分の気持ちの動きと揺れ。そういうものが丁寧にかつ過不足なく描かれている。「Key Note」ではその少女がちょっぴり成長した様子や二人の関係が変質していく様がうかがえて、うれしくなった。

高校生でこんなに「かっこいい子」いるかしら?と思わないでもないが、それは、作者の「理想とする少女像」として読んだ。今度は、同著者による登場人物の年齢がもう少し上の作品に触れてみたいと思った。