老中の市井日記

理想を失うことなく老いの中を楽しみながら、日々発見、日々刺激、日々出会いを大切にしていきたいと思っています

甦る秋山真之

2007-01-06 23:34:48 | 読書
2年越しの宿題であった「甦る秋山真之」を読み終えました。

昨年、新幹線の京都駅にあった本屋で立ち読みをしていたときに
見つけた本で、小さい文字の400ページほどの分厚い本です。

同じ戌年の(一回り上)JALカードの副社長を勤められた三浦康之氏
が12年前に書かれた本です。丁度私の今時分に書かれたんですね。

それにしてもよく調べられています。
「坂の上の雲」に出てくる3人の青年の1人、日本海海戦の主任参謀
「秋山真之」に関する分析本です。

軍事参謀の秋山真之から企業参謀が学ぶべきことを観点として
書かれています。(三浦氏も昭和の企業参謀と自認されています)

明治元年生まれの秋山真之の時代は、文明開化と富国強兵の
新しい時代を自分たちのものだという自覚と自負がありました。

その点で言えば、私は昭和21年生まれの敗戦後の日本、
昭和の後期の高度成長の申し子なのかもしれませんが。

明治の秋山真之が新しいパラダイムにどう立ち向かったかを
考えると、平成の今の情報革命や価値革命の新しいパラダイム
に取り組む際のヒントがあると思っています。

秋山真之の偉いところは、海外留学での実習が終わって、
帰国して海軍大学校の教官になってからです。

その実習の成果を十二分に消化して、自分なりに考え抜いて、
まったく独自の理論を作り上げて、生徒にとことん教え込んだところです。

「海軍基本戦略」「海軍戦務」「海軍応用戦術」「海国戦略」
の4つを作ったのです。
海軍を企業、海国を企業グループと置き換えれば凡そ想像がつきます。
戦務はロジスティックスで、今風に言えばSCMでしょう。

生徒といっても、同期や先輩もいて、その秋山コーチが鍛えた
帝国海軍チームが日本海海戦で完勝したのです。

断っておきますが、決して軍隊や戦争を推奨しているのではありません。
明治維新は、鎖国から開国へという国のたたずまいの変化から見て、
645年の大化の改新以来12世紀ぶりに訪れた2度目の外圧に対応する
パラダイムシフトでした。

生まれたばかりの明治国家は、ただちに欧米帝国主義の脅威にさらされ、
明治の参謀は軍事参謀にならざるを得なかった。

ともかくも近代国家を作り上げようとするのが、維新後の新国民たちの
少年のような希望であったと思います。

それを司馬遼太郎は「坂の上の雲」という表現で表したと思っています。
欧米風に言えば、追い求める理想を
「Tha shinning city on top of the hill 」
でしょうか。

昭和の企業参謀は、合理派デミングと社会派ドラッカーの理論を
うまくミックスしてなんとか日本的経営をものにしました。
どうも平成の新しい経営のパラダイムシフトは、
いまだ進行中のように思われます。

もひとつの観点、司令官と参謀、社長と企画室長(NO2)の
組み合わせが重要に思います。
このときは、東郷平八郎と秋山真之ですが。

人徳のある司令官と智謀のある参謀のコンビネーションが理想です。
よく言われる、「プロジェクトで出来る人ばかりでは、うまく行かない。
出来た人をリーダーに持ってくる必要がある」

リーダーは、「どこを目指しているか、今何をすべきかだけを
ハッキリ示せばいい」と思っています。

この「出来る人」と「出来た人」のコンビは反対でも何とかなりますが、
出来た人ばかりでうまく行かない例はいやというほど経験してます。

ただ、ベンチャーでは最初のうちは参謀のいない全部自分一人で
やらなければなりません。切り替え時期が難しいですね。

これからは、参謀が社長になるのが多くなるかもしれません。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。