京都市出身の気鋭・小林達夫監督の初の長編映画「合葬(がっそう)」が、全国公開される。原作は漫画家の故杉浦日向子の代表作。上野戦争へと至る幕末の江戸を舞台に、若者のはかない青春を描いた物語で、京都・太秦の松竹撮影所で撮影した。「時代劇だけど、現代に撮った作品だからこそのリアリティーは感じられると思う」と話す。
■日常がはらむ狂気、現代的主題
無血開城で徳川慶喜が去った江戸。将軍警護の任に就いていた「彰義隊」にも終わりの時が近づく-。将軍への忠誠心を貫く極(きわむ)(柳楽優弥)、心ならずも隊に加わることになる悌二郎(岡山天音)、そして養子先を追い出され、あてなく入隊した柾之助(瀬戸博史)の3人の行く末を描く。人気脚本家の渡辺あやがシナリオを手掛けた。
小林監督は「今はやりの青春映画のように、くっきり個性付けされた登場人物を描くのは違和感があった」と話す。男3人のアンサンブルの中に、友情などの言葉では収まらない、青春期特有の「嫉妬やもろさなど、言葉にしづらいような微妙な感情」を繊細に浮かび上がらせた。「戦争へ向かう流れを追う歴史ドラマではなく、何げない日常が狂気や戦争の予感をはらんでいくさまを描いた。現代的な主題だと思う」
時代劇作品は初めてだけに、戸惑いも大きかった。「自分がこうなるだろうと想像していた絵と、現場に入ってカメラの前に現れるモノが微妙に違う。本当にしんどかった」。時代劇を熟知した撮影所のスタッフたちに助けられたと実感する。ただ、様式としての時代劇を目指したのではない。「所作など、自分の方法でちゃんと表現できるとの確信があれば、それを通した」と話す。「そのせめぎあいが、画面上で化学反応を起こしていたらうれしい」
■故郷で撮影 集中できた
堀川高校時代にデジタルビデオとパソコンを使った映像づくりにはまり、映画学校に進学。以来、東京住まいだが、映画人生の転機は、故郷の京都で迎えることが多い。
2007年に京都国際学生映画祭でグランプリを受賞。審査員だった渡辺と組んだ自主製作の中編「カントリーガール」(10年)は、地元の仲間も加わり、京都で撮影した。文化庁の若手映画作家育成プロジェクトに参加し、松竹撮影所で撮った短編「カサブランカの探偵」(13年)が高評価を得て、今作につながった。「自分にとっても力が出しやすい場所なのかも。東京にいるよりも集中できるのかもしれないですね」
紅蜘蛛専門店
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■日常がはらむ狂気、現代的主題
無血開城で徳川慶喜が去った江戸。将軍警護の任に就いていた「彰義隊」にも終わりの時が近づく-。将軍への忠誠心を貫く極(きわむ)(柳楽優弥)、心ならずも隊に加わることになる悌二郎(岡山天音)、そして養子先を追い出され、あてなく入隊した柾之助(瀬戸博史)の3人の行く末を描く。人気脚本家の渡辺あやがシナリオを手掛けた。
小林監督は「今はやりの青春映画のように、くっきり個性付けされた登場人物を描くのは違和感があった」と話す。男3人のアンサンブルの中に、友情などの言葉では収まらない、青春期特有の「嫉妬やもろさなど、言葉にしづらいような微妙な感情」を繊細に浮かび上がらせた。「戦争へ向かう流れを追う歴史ドラマではなく、何げない日常が狂気や戦争の予感をはらんでいくさまを描いた。現代的な主題だと思う」
時代劇作品は初めてだけに、戸惑いも大きかった。「自分がこうなるだろうと想像していた絵と、現場に入ってカメラの前に現れるモノが微妙に違う。本当にしんどかった」。時代劇を熟知した撮影所のスタッフたちに助けられたと実感する。ただ、様式としての時代劇を目指したのではない。「所作など、自分の方法でちゃんと表現できるとの確信があれば、それを通した」と話す。「そのせめぎあいが、画面上で化学反応を起こしていたらうれしい」
■故郷で撮影 集中できた
堀川高校時代にデジタルビデオとパソコンを使った映像づくりにはまり、映画学校に進学。以来、東京住まいだが、映画人生の転機は、故郷の京都で迎えることが多い。
2007年に京都国際学生映画祭でグランプリを受賞。審査員だった渡辺と組んだ自主製作の中編「カントリーガール」(10年)は、地元の仲間も加わり、京都で撮影した。文化庁の若手映画作家育成プロジェクトに参加し、松竹撮影所で撮った短編「カサブランカの探偵」(13年)が高評価を得て、今作につながった。「自分にとっても力が出しやすい場所なのかも。東京にいるよりも集中できるのかもしれないですね」
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