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マルセル・シュオッブ「悪鬼に憑かれた女」

 木立の合間にいくつもテーブルが据えられていて、刺繍をあしらったテーブルクロスの上に枯葉がはらはらと舞い落ちていた。そのうちの何枚かは細長いコップに注がれたシャンペン酒に浮かんでいた。蝋燭がただ一本だけ点されていて、その周囲に虫の羽音がきこえた。招待された客たちはめいめい離れた場所に陣取っていた。彼らの話し声がときたまこの木立の茂みにまできこえてくる。おれは奇妙な女に夢見心地にさせられたあげく、 . . . 本文を読む
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ワレリアン・ボロヴズィック「悪魔の解剖学」

ゴムと、焼いた肉との匂いがオラフの嗅覚を刺激する。彼の鼻は黄ばんだ、染みだらけの分厚い封筒のざらざらした面に触れ、鼻の穴は匂いを吸いこんで大きくふくらむ。 この郵便配達夫は町の子供たちに「ねずみのしっぽ」と渾名されている男で、それというのも彼は白樺の樹皮でこしらえたタバコ入れをもっていて、その蓋を持ち上げる細い皮ひもがねずみのしっぽに似ているからだが、とまれこの男は、司祭さんに宛てられた手紙を手 . . . 本文を読む
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