しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「クラインの壺」 岡嶋二人  

2006年05月09日 | 読書
ゲームブックの原作に応募した上杉彰彦。規定違反の原稿だった為、審査の対象外になるが、イプシロン・プロジェクトから、ゲームの原作にしたいと言う誘いを受ける。
それは擬似感覚をシュミレートするもの。
右手だけのプロトタイプを経験して、契約を結ぶ。
それから1年が経ち、ゲームの最終チェックの為にモニターとして、研究所に呼ばれる。
それは全身が擬似感覚のシュミレートを体験するゲーム『クライン2』だった。
モニターにはもう一人、アルバイトで採用された、高石梨紗と言う女の子がいた。
ゲームは素晴らしいものに思えた。
しかし、上杉がゲームを進めていく途中で、突然「戻れ」と言う声が聞こえ、意識が遠のく。
上杉はその後も「戻れ、これ以上進んではならない」と言う声を聞く。


面白かった。
現実か夢か妄想か、分からなくなる様な話の設定は数多くあるけれど、話の中に引き込まれる。

テレビゲームはした事がないが、夢中になっていると、その中に入り込んで気持ちがなかなか戻って来られない事はあると思う。
ゲームはしないが、リアルな夢を見るので、目が覚めた時に夢と現実の区別がつくのに時間が掛かる時はあるから。(いつもフルカラーで、物を食べると味がする時もある)
人間が、自分の存在がはっきりしない事が1番不安になるのかも知れない。

登場人物も少なく、テンポよく進んで行く。でも、イプシロンの関係者が3人しか出て来ないのは、ちょっと不思議な気がする。もっと大掛かりな研究のようだけれど。
そして、百瀬さんの謎が残っている。これは、こちらで想像しろと言うことか。
意志の力か、もっと科学的な説明がつくものなのか・・・と考えると益々怖くなるけれど。

文庫本の新井素子さんの解説も面白かった。
新井さんは岡嶋二人と言う作家を失った事を悲しがっていた。
自分が岡嶋二人を知ったのはつい最近。知った時にはこの世に存在していなかったのだ。
でも、新井さんの哀しみは自分の好きな作家に当てはめれば分かる。
自分の場合は、手塚治虫さん、星新一さん、そしてアシモフ。
あ、でもちょっと違うか、岡嶋二人はバンドの解散の方かも知れない。ソロで活躍してくれたら多少は救われる。




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