第1問
攻めが細いので工夫が必要です。
A 65歩 B 64銀 C 85歩
第2問
ここも手筋で工夫の攻めです。
A 56歩 B 87歩 C 67歩
第3問
少し楽になって手筋の攻めです。
A 15歩 B 24桂 C 69飛
第4問
おとなしく指してはいけません。
A 68同飛成 B 39角 C 65香
20171227今日の一手
10月7日の名南将棋大会から、MさんとSさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。
一昨日の一手の回答
☆ 形勢判断をします。
角と飛銀歩の交換で成銀を作っています。持ち歩があるので歩をカウントせず、銀が成銀になってもあまり効果はないのですが、ほぼ銀得ですから先手の大きな駒得です。
玉の堅さは同程度。穴熊は戦場から遠いという利点があるものなのですが、2筋が戦場になっています。
先手の攻め駒は持ち駒飛桂で2枚。74成銀は攻め駒とは言えません。
後手の攻め駒は49角26銀で2枚。22角も働きそうです。
総合すれば駒得の分だけ先手が良さそうです。
☆ 大局観として
後手は駒損ですが2筋に大きな拠点を作り、飛で角を取って打ち込みました。飛取りですから逃げたらどうなるかを確認します。
逃げて悪いとなれば取られても良いようにするか、手抜いて攻めるか。それら3つにわかれます。
よほどの攻め将棋なら手抜きから考えるかもしれませんが、穏やかな方から考えるのが普通でしょう。穴熊を指し慣れていれば手抜きから考えるのかなあ?
ほぼ銀得でも74成銀が中途半端、88金79銀も遊んでいます。(玉の囲いに関係せず、攻め駒にも数えられない駒が遊び駒です。形勢判断の3つの要素には含まれているので特別に考えなくてよいです。)駒得は味が悪いものなんですよね。
ただ後手の攻め駒がせいぜい3枚ですから受けることもできるはず。後手の金銀もバラバラですから攻めることもできます。両方あるのでかえって迷うかもしれませんね。方針を決めて考えましょう。
× 飛車を縦に逃げて38角成
では負けだというのはすぐに気が付きます。
△ 48飛など横に逃げるのが普通です。
どの位置に逃げても55角37歩38角成同飛28金
後手は駒損ですから攻めるしかないです。28同銀同歩成同玉27銀打39玉38銀成同玉27歩
穴熊から這い出て逃げ出せるかどうかということなのですが、最後の27歩が厄介で、28飛や19飛を狙われています。19銀と受けると66角48桂28飛
28同銀同歩成49玉57角成
68金と受けてまだ何とかなりそうに見えますが、後手は5,6筋に歩が利くのが大きく寄せ切られそうです。(68金47馬59玉67歩58金57歩というような手順です。)
27歩に48玉
と逃げ出して難しい図です。受けきれないのですが後手玉も万全ではないし。例えば56歩23銀42玉54歩66角59玉
ずっと難しいです。
× 飛にひもを付ける手を考えると、48金では
方向が違います。58角成同金49飛57角
両取りを受けられますが、55角46桂88角成同銀28金
で詰まされます。
△ 48飛打だと
58角成同飛69飛78金65飛成48角
と打って75成銀で助かります。
ということは後手としては65飛成ではなく49飛成の方で
48飛55角46桂
ずいぶん利かされて(37歩では同銀成でつぶれ)いますが、後手としても桂を取って強攻か、竜を逃げておくか、迷うところでしょう。先手駒得とはいえあまり思わしくないと思うのですが。
△ 56飛打だと
58角成なら前と同じ変化です。後手が38角成としたら、38同飛28金同銀同歩成同飛27歩
今までは玉で取って逃げ出していたところですが、飛で取って27歩を打たせ、26飛28歩成同飛
これはしてやったり、先手よしです。
△ 手抜きで攻める手を考えます。23歩
は入ります。58角成22歩成同玉は先手よし。角を逃げられて、得か損かよくわからないです。
○ 実戦は54歩で
これも58角成53歩成は先手よし。54同金に48飛打と受けて58角成同飛55角
と進行しました。王手を受けておけば難しいのですが、55同飛同金22歩
はあまり厳しくなくて、飛2枚を打たれて寄せられてしまいました。
戻って54歩に同金でしたから54同飛がありました。
38角成に34飛33角38飛
この48飛と逃げている変化に比べて金の丸儲けですから先手優勢です。
後手は54歩に挨拶しても仕方ない(52金53歩成とか44金82飛~とか)のです。38角成
と(少なくともどこかで)攻めるしかないです。つまり先手は48飛と逃げないで54歩の1手を儲けている計算です。38同飛28金同銀同歩成同玉27銀打39玉38銀成同玉
先手からは53歩成でほぼ詰めろ(詰めろで無くても王手で駒を抜く手がある)なので、後手も詰めろ以上の手が必要です。66角49金27歩46角
このあたりで後手からの詰めろが続かなくなります。36飛37銀から駒を交換する手を入れるかどうかはありますが、52金とか手を戻すことになり、攻め合いでも長い戦いになれば先手の駒得が生きてきます。
追記
ikecchiさんから鋭いコメントがありました。ありがとうございます。
54歩から52金53歩成同金でどうするか。何とかなるだろうと思っていたらかなり難しいです。
53同飛成では38角成で
先手の負けです。
58飛は簡単に移動できません。戻って23歩
しかなさそうです。23同玉は25飛で合駒がないから角を逃げます。
66角には33歩同玉45桂
3筋にも歩が利くので手が続きます。飛車打ちを避けて24玉ですが22歩成同角53飛成
これが25歩からの詰めろで先手の勝ち筋。
22歩成の時に39角成
と銀を取って、39同金58角成が詰めろですが、46角が詰めろ逃れ。25玉23飛36玉53桂不成
先手の勝ち筋です。
33歩に同角は53飛成で
38角成に22金同角同歩成同玉25飛
合駒が悪くて、23金合に同飛成からたたいて詰んでいます。
23歩に44角と逃げたら
金銀にひもが付きます。やはり33歩があって、33同角は前の変化と合流します。取れなくて42玉
が最善の逃げ方です。これには45桂がぴったりで、58角成くらいに22飛31玉53桂不成
でこれも寄っています。
最後は23歩に55角の王手。
55同飛38角成が詰めろですが、22歩成同玉25飛
金合いでは馬を取られます。31玉32歩に同金は61飛
で金合が仕方ないです。51歩同飛成41金同竜同玉38銀
これは先手優勢。
32歩に42玉とかわして
これには24角の王手。33桂の移動合では同角成同玉45桂
で詰み筋です。
24角に33金合いならば57角
と守っておいて、37銀成同桂同馬28歩
でなんとか先手が優勢です。
24角に52玉は
82飛62歩64桂同金53歩
と迫ってぴったり詰んでいます。
偶然の配置ですが、先手にとってうまくできていて勝ち筋でした。よって最初の結論は変わりません。ホッとしました。
× 82飛には62歩が受けの手筋。
62同飛成52金引ではまずく、24桂23玉81飛成51歩
手順に桂を取れるのですが、後手玉を攻めにくくしているので失敗です。後手に歩を打たせたので48飛から受けた時に有効ではあるのですが。
☆ まとめ
48飛と逃げるのはずいぶん攻められそうで、難しいのですが実戦なら負けやすいでしょう。
48飛打はやや悪いです。これは問題図での形勢が悪いとみて粘って指す手です。
かなり怖いのですが手抜きが利きます。これは58角成とされても先手玉から遠のくから。攻めようと思えば54歩で飛を使うのが自然。先手Hさんはいつも穴熊ではないですが、ここに目が行きました。でも54同金に同飛と取り返せなかった、というのが残念です。
54歩に38角成ならば、48飛と逃げる手に比べて1手得なのです。終盤で1手差がつけば大きすぎます。
「駒はあたりになっている時が一番働いている」と言います。これはほぼ正しい将棋格言です。飛取りを逃げない手から考えるようになったら中級者以上でしょう。好手が落ちているかもしれません。
54歩同金に飛を逃げる手(金を取る手)が正解だったというのは逆に盲点に入るのかも。面白い現象です。
20171225今日の一手
10月7日の名南将棋大会から、HさんとSさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。
一昨日の一手の回答
☆ 形勢判断をします。
金桂と飛歩4の交換です。歩4枚でも1枚と同じくらいの評価で、損得なしに近いでしょう。
玉の堅さは後手のほうが堅いです。
先手の攻め駒は68角と持ち駒飛角で3枚。
後手の攻め駒は26飛89金と持ち駒桂で3枚。
総合すれば互角かやや後手もちか。
☆ 大局観として
89桂馬を取られたところで駒割りは互角です。持ち歩が多いのは心強いですが使えるところは7筋だけ。89金はそっぽのようですが、79金はほぼ同角なので遊んでいません。マイナス要素が多いようですが、後手陣に手がついてしまえば持ち駒の飛角が生きてくるので形勢はよくなるかも。
後手からみると56飛とか65桂があって、79金同角とあわせて、攻め駒4枚で攻める手が残っています。当面はそれを受けることを考えなければいけないようです。どう受けましょうか。
△ 実戦は74歩で
桂馬を取られたからと強気に取り返しに行きました。79金同角56飛
57歩にも76飛があるとはいえ、57角はまずい受けでしょう。65桂48銀57桂成同銀49銀
まだ完全につぶれているわけではありませんが、どんどん攻められて劣勢です。
74歩と打ったのですから、79金に73歩成
と踏み込むしかないのです。56飛57歩76飛に72と
77歩は打ちたいですが、と金を払われた時に79金を取りにくいです。ここも銀を取るしかない。78飛成86角打69金59銀
攻め込まれている分だけ分が悪いですが、61と がまわってくるまで我慢できるか、という展開です。
△ 56飛を許さないのが普通の受けで、46歩が一番素直でしょう。
これで収まればよいのですが、54桂の時には47金か。
後手は歩切れですが、46桂同金38歩
がありますね。36金や35角を利かせるか(飛を切って二枚換えにされるか)はあるのですが、38同銀28飛成47玉79金同角58銀48玉
67銀成49角66成銀18金
なんとか耐えているような感じですが成駒を作られて歩も入手されました。
これよりは47玉
のほうが良いかも。46桂同角同飛同玉24角
合駒はしても仕方ないので、36玉79角成に74歩65桂73歩成同銀81飛
金銀と飛の二枚換えですが攻める番が回ってきました。先手玉がどれだけもつかなのですが、勝負にはなるでしょう。
○ 36歩の受けは
歩を渡すのですが、36同飛に45角と打ち、26飛27歩25飛37桂22飛74歩
45角を追われなければ攻める手が回ってきます。桂を跳ねさせるのも怖いですが、73歩成同銀63角成も相当です。
× 46角打だと
角を出る方は79金で困るので打ってみます。54桂があって、35角56飛57歩76飛
54桂を打たせたものの35角も働いているとはいえず後手よしか。
54桂に73角成と切ると
73同銀81飛52玉91飛成79金36香
香を手に入れて攻防で守るというのが狙いではあります。でも69角も痛そうです。
そんなに余裕はなくて、91飛成の前に36桂
くらいでしょうか。でも局面が落ち着けば駒損で悪そうです。
△ 36角なら
44桂に35角22飛45角
2枚の角を追われそうでも案外その手段がないですね。これで74歩がまわってくるかどうか。
△ 75飛は
65桂のほうを受けました。(6段目に打つのは79金同角から銀を打って狙われる感じで少し悪い)
74歩を狙いにしています。79金同角56飛57歩54飛74歩84銀
銀を打たれたら桂馬を逃げられるので難しい形勢です。飛を打った効果はあまりないように思えます。
最初の狙いから外れますが、79金に同飛だと65桂に46歩
で受けることになります。(これは76飛と打った時に合流する変化)
77銀同角同桂成同飛54桂
で46桂を狙われるし、88角もあるし、でやはりこれも思わしくない感じです。
△ 48玉は王手を避けた手で
右が壁なのでおかしな感じはするのですが、79金同角56飛には66金
で頑張れます。54飛46角74飛75歩84飛54歩
5筋の歩が切れたので54歩で反撃、54同歩に86角という感じです。まあまあでしょうか。
後手は銀を取る前に56飛
のほうでしょうか。57歩76飛77歩75飛78銀88金69銀85飛
飛の侵入は防ぎにくく、歩を打つ筋がないので反撃がわからないです。とすれば後手よしか。
× 48銀は壁をなおして守りを強化していますが
79金同角56飛57歩76飛
飛車成りを受けにくいです。(この変化はそのほかの手一般に共通です。)
○ 最後は78銀で
銀を逃げておきます。88金には79歩くらいしかないですが、56飛57歩54飛
今度は無条件で飛を成られることはないです。ゆっくり指して右の壁を直していけば十分に戦えます。
☆ まとめ
私は横歩取りの将棋が苦手ということもあり、これまであまり取り上げていないですが、名南将棋大会でも時々出てきます。どこから戦いが始まるかわからないけれど、気が付いてみると形勢に差がついている感じがしています。
問題図に至る前は後手がずいぶん荒っぽく攻めているなあと思っていたのですが、問題図では後手もちかも。(原因は先手が88の銀を79に引いてしまったからみたいなのですが。)
攻めている方は一方的に勝ちやすいので、受けている側は反撃がまわってくる順を考えねばなりません。
単純に74歩では後手の攻め駒が4枚になって殺到されます。それでも踏み込めば一手違いでしたが。
56飛を単純に受けることは難しいです。歩切れの相手に歩を渡すのは嫌な感じではありますが、歩をエサにして36歩同飛45角というのが有力です。大駒は近づけて受けよで、先手を取って56の歩を守る45角が攻防の手でした。
36歩は突いてもよいけれど、46歩は突きたくない、というのは中住まい独特です。
56歩を取られてもよいように受けるというのはかなり難しそうなのですが、78銀が一番良いのか、という結論です。